2010/10/25

コニャクフ村の話~ランジェリーで伝統レース産業を救え~


クラクフから、120km程南西に行った、チェコとの国境に程近い、シロンスク県の小さな村、コニャクフは、昔からレース編みと牧羊で有名な小さな村です。高級綿糸で編むその繊細なレース編みは、200年もの間、母から娘へ、またその娘へとこの地方の女性たちの間で伝えられてきました。


この地方の伝統衣装のひとつである、既婚女性がかぶるレースの帽子は、これが自ら編めなければ、お嫁には行けないというほど。この地方の女性たちの間で、レース編みの伝統は根づいています。

コニャクフのレースは、その美しさと質の高さから、過去には、(ポーランド出身の)法王ヨハネ・パウロ二世やエリザベス女王への献上品となり、又ポーランド各地の教会の祭壇を飾っています。


しかし、伝統的なレース産業も、近年は機械編みの格安レースやアジアからの輸入品などに押され、手編みの高価なレースのテーブルクロスなどは、売れなくなっていきました。

そこで、この伝統レースの生き残りをかけ、この村の女性達は、レース編みの技術を生かし、ランジェリーの制作を始めます。これが、国内外で大変な評判となり、衰退しかかっていた村の伝統が、再び盛り上がるようになりました。

Malgorzata Sanaszek (マウゴジャタ・サナシェック)さんが村の女性たちと始めた、コニャクフのランジェリーメーカー、KONI-Art。

もちろん、法王様にも献上した伝統レースを下着にすることには、批判的な意見もあったそう。あるレース職人の女性は、教会での懺悔の際、「レースで下着を編むのは罪なことなのでしょうか」と司祭に相談に来たそう(BBC news)。しかし、今ではこのランジェリーという新たな発想により、コニャクフのレースは再び活気を取り戻しました。KONI-Artでも、60人の職人が働いているそうです。

伝統は、伝統としてそのままの形で受け継ぐことも大切ですが、伝統を新たな文化や価値観の中で、変化させ、そこから<新たな伝統>を生み出す努力は、より素晴らしいものです。本日は、そんなコニャクフ村の話でした。


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