先
日パリに行ってきた時のこと。オルセー美術館のこの絵画の前で立ち尽くしました。秋の夕日の中、
編み物に夢中になっている羊飼いの少女。天上の雲間からは神々しい光が差し込み、草を食む羊たちの羊毛と少女またその大地を黄金色に照らし出しています。
静謐でやさしく、美しい一枚です。
The Angelus, 1857-59 「晩鐘」
描
いたのは「落ち穂拾い」や「種をまく人」で有名なフランスの画家Jean-François Millet ジャン・フランソワ・ミレー。
ミレーは農民の姿を崇高な宗教観を込めて描いた画家です。ミレーの描いた素朴で力強い農民たちの日々の生活は大地に感謝し生きる営みの尊さを
見るものに訴えかけます。
絵の中の「羊飼いの少女」は、ただ夢中に編み物をしています。自分の羊から取った羊毛の毛糸でこれからの冬の季節に備えて温かいものを編んでいるので
しょうか。この絵を見た時、ここにSLOWARTが追い続ける民芸の原点を見たような気がしました。民芸や手仕事の持つ尊さ、優しさや美しさがこの絵には
表現されています。
ミレーの描いた編み物や、刺繍、縫い物、糸紡ぎをする農民たちの絵を集めてみました。どれも、静かな空気の中仕事に集中している人達ばかりです。こちらも静かにその様子を見守りたくなります。
The Knitter or, The Seated Shepherdess, 1858-60
The Spinner, Goatherd of the Auvergne, 1868-69
こちらは、やぎを飼う少女。羊毛から糸を紡いでいます。羊毛が巻きつけてあるのは、ハシバミの棒。左手で羊毛を引き出し、右手に持った糸巻きに太さを調整して巻きつけています。
そういえば、フツルの織物リズニクハンナさんも同じようにして糸紡ぎをしていました。
The knitting lesson 1860
母から子へと受け継がれる手仕事
Woman Sewing By Lamplight 1870-1872
冬の夜 あかちゃんの眠る横でランプの光を頼りに羊飼いのコートのほつれを縫う若い母親。優しいランプの光が彼女の幸せそうな表情と針を持つ手を照らしている。
The Young Seamstresses1850
Seated Spinner (Emélie Millet)1854
こちら、<小さな村から温もりをつむぐ手仕事・ヤノフ村の織物展>もお忘れなく;)
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