2011/07/26

ポーランド自転車・電車旅行のすすめ

6月の終わりにポーランドの南の街クラクフからポーランドの北東の街ビアウェストクの側の村まで寄り道を繰り返しながら行ってきた総距離1550km、そのうち自転車で450kmの旅。今回は全て農家に泊まるアグリツーリズムでもありました。去年から2回目のポーランド自転車旅行、少し電車事情や自転車での移動について経験値が増えたので、ポーランドの電車旅行やアグリツーリズムに関して便利ツールや必要情報をここに記しておきます。

 これからポーランドを旅行しようと思っている方のご参考になれば幸いです。


ポーランド国鉄はPKP(Polskie Koleje Państwowe)といいます。ポーランドを走る列車は下記PKPのサイトで、時刻表や料金が確認できます。
PKP:http://rozklad-pkp.pl/?q=en/node/143

(参考画像)

因みに、クラクフからワルシャワに行く場合、メインの駅名はワルシャワ(Warszawa Centralna)、クラクフ(Kraków Głowny)となります。検索の際に気をつけていただきたいのが、ポーランドには同じ路線でもオペレーションをしている列車の種類がいくつかあり、それによって価格が大幅に変わってきます。上記、10:08発のラドムやキエルツェを回ってワルシャワに行く列車以外は、全て3時間強で到着していますが、

EX(Express Intercity)は115zl
TLK(Tanie Linie Kolejowe)は54zl
IR(Inter Regio)は43zl

と値段(全て2等)にかなり差があります。クラクフとワルシャワ間のEXはポーランドでも最新の車両が使われており、座席指定、暖冷房付き、座席の幅も広く、2等車でもビスケットと紅茶をサーブしてくれます。一方IRは、とてもお得ですが、座席指定や冷房などはなく車両も古めです。定員の制限なくチケットを発行するので、ホリデーシーズンなどは座席確保は早い者勝ちとなり、廊下などに座ることもありえます。(去年の自転車旅行は帰ってくる際まさにこれで、列車は人で溢れかえっており、使われていない乗務員用の着替え部屋に自転車を押しこみ、自転車の座席に3時間座って帰ってきました・・)
 ただ、普段であれば到着時間もあまり変わらないため、少々古くても窮屈でもIRで特に問題はないでしょう。スケジュールや予算に合わせ、列車を決めてみてください。

チケットは、駅の窓口で買うか(英語は通じないことがるので、乗りたい列車の時刻と行き先、列車番号などをメモって渡しましょう)、もしくは下記サイトから事前に購入することも出来ます。


PKP intercity(IC,EX,TLKのみ):https://bilet.intercity.pl/irez/
Przewoz Regionalny(IRはこちら): http://www.przewozyregionalne.pl/

 私たちのように、自転車も一緒にのせて旅をする場合は、自転車用の切符を買う必要があります。上記サイトでは、購入できないのでその場合は窓口のおばちゃんに自転車分のチケットを発行してもらいましょう。長距離列車にはたいてい自転車専用置き場がついた車両がありますので、そこに押し込みます。自転車置き場のない列車に関しては、ポーランドではどの列車も、先頭車両・最終車両のどちらかに乗せていいという決まりがあるので、それに従いましょう。

ポーランドの鉄道は、あまり時刻に正確ではありません。今回の旅の初日にはワルシャワ中央駅の停電の為(電気系統の配線作業をしている際に、作業員が誤って停電を招いたそう・・)ワルシャワを発着する全ての列車が2時間近く止まるハプニングがありました。又、列車の車掌が行方不明で列車の出発が遅れたりしたこともありました・・orz。。ウクライナやリトアニア、ベラルーシなどから国境を超えてくる長距離国際列車にあたってしまった場合は、時刻通りにはこないと思ったほうが良いでしょう。

ポーランドで列車の旅を選んだらおおらかな気持ちで、ハプニングも楽しみましょう。


アグロツーリズムに関しては、一泊素泊まりで30-40zl(900-1200円)/1人、朝食付きでプラス10-15zlと言ったところでしょうか。今回泊まったのは、野菜農家、乳牛農家、養豚農家と様々でした。行く先々で畑から直送の美味しいご飯をいただきました。養豚農家は去年も泊まったところでしたが、今年はなんと豚を一頭しめてハムを作るのを見せてもらいました。命の食べ方。ありがたみがわきました。

ポーランド国内のアグロツーリズムは下記サイトなどで検索できます。(ただ、農家なのでどこも町から10kmや20kmは当たり前の田舎ばかりです。交通の便もないところが多いので、車などない方は、自力で行く方法を考えてください。その点自転車はよかったですよ;)
Meteor Turystyka:http://meteor.turystyka.pl/en/


ポーランドの地平線見渡すかぎり小麦畑のような田舎の農家や、田舎の奥まったところに住んでいる民芸家さんの家は住所が分かっていても、google mapなどでは出てきません。。google mapの手の及ばない地域はポーランドのTargeoという地図が便利です。田舎の一家族しか住んでいないようなニッチ的な小さな道もちゃんと場所を教えてくれます。
Targeo:http://www.targeo.pl/

さて、これをもって今年のSLOWART自転車旅行の記事は一旦終了します。この自転車旅行での出会いについては、年末から来年にかけて、日本のみなさんにご紹介したい企画をたくさん考えています。新たな切り絵との出会いや、織物の里のことなど、その時に詳しくお伝えすることにします。





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2011/07/21

イースターエッグ好評展示・販売中!


<イースターエッグの世界展>は、現在札幌presseさんで好評開催中です。ポーランド、チェコ、リトアニア、ドイツ、ウクライナ、ルーマニアの職人さんたちが丹誠込めて作った、東欧各地のイースターエッグをぜひご覧にいらしてください。

 ■ 2011.7.15(金)~7.28(木) 札幌 Presse
札幌市中央区南6条西23丁目5-3
Tel: 011-299-7550 営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
http://momentsdepresse.com/ 

8月は名古屋、9月は福岡、10月は大阪に巡回します。今後の予定(コチラ

残念ながら、近場でのイースターエッグ展が既に終了してしまった・・という方は、giorniの通販サイトでも一部の商品を取り扱っています。こちらも覗いてみてください(トップ写真はウェブ販売しているタマゴたちです。写真をクリックすると通販サイトに移動します)。

giorni market: http://giorni.jp/shop/S00001/ichiran.html?category_code=19

これら、展示中のタマゴを作ってくれた職人さんたちのお話はコチラからどうぞ。

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トルンへは来週引っ越すことになりました。クラクフに溜まったSLOW ARTの商品や、母が送ってくれた大量の日本の本、同じく大量のDVDやCD。引っ越しするというのに計画性もなく買ってしまった、数本の醤油瓶やみりんを始めとするアジア食材の数々、電化製品やカメラ機器、捨てられない数年前からの書類などなど・・夫婦ふたりの生活なのに、生きて行くのになんでこんなにモノが身の回りに溢れているのかと少し辟易とします。この引越を機に、身の回りも、精神的にも少し身軽になりたいと思います・・


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2011/07/18

消え行く伝統を守る ~私にできること~

クルピエ地方の切り絵作家 チェスワヴァ・マルヘフカさん

今回の旅の目的の一つは、今までSLOWARTが扱ってきたウォビッツとは又違った土地のポーランドの切り絵を探しに行くことでした。以前「消え行く伝統」という記事でもお伝えしたことがありますが、ポーランド(特にマゾフシャ地方の村々)には、切り絵の伝統があり、図柄が複雑なもの、単色のもの、イコンのまわりを飾るためのもの、レースカーテンとして使用していたものなどなど、各家庭で伝統的に伝えられてきた個性的な切り絵が多くありました。

ウォビッツの切り絵

時代や生活スタイルが代わり、各家庭において切り絵の「実用性」は失われていきます。ウォビッツのカラフルで芸術性が高い切り絵は、ポーランド国内でもおみやげ品として扱われることも多く(実際に今回会った作り手さんの一人は、ポーランド政府から海外のゲストに渡される公式のおみやげとして切り絵の注文があり、それを一生懸命つくっている最中でした)、商業的に「売れる」為、今も比較的多くの切り手さんがおり民芸市などでもよく見かけますが、その他のごく素朴な切り絵は、そのデザインやオリジナリティは素晴らしい物があるにもかかわらず、作り手がすでに居なくなっている地域が大半です。


こうして考えると、現代残っている民芸品は、本来の一般庶民や農民の日々の暮らしを彩る為の芸術という意味は殆ど無く、おみやげ品として販路を見いだせたもののみが残っているというのがよくわかります。 民芸品が伝統的に家族代々伝えられてきた意味は、やはり<自分たちの生活を彩るためである>という事を考えるとその意味を失った民芸品は、このままではおそらく次の世代には残らないのではないかと、残念ながら思います。


ポーランドの民芸の現・近代史といったら大げさですが、私がこの仕事を通して見聞きしたことを少し書いてみようと思います。

ポーランドの共産主義時代については、ポーランド人にとっても人それぞれ見解が違います。もちろん大半は食べ物や物資がなく、自由が制限された共産主義の時代という認識で一致しています。

一方、田舎をめぐる今回のSLOW ARTフォークロアツアーでは各地で昔(共産主義時代)を懐かしむ声が多く聞かれました。

ポーランドには、各地にCepeliaというお土産物屋さんがあります。ワルシャワは旧市街の目抜き通り沿いに、クラクフは旧市街広場のおみやげ通り、織物会館の中に入っています。


Cepeliaは1949年に文化・国家遺産省(Ministry of Culture and National Heritage)の指導の元、ポーランドの民芸文化の保護、宣伝をする団体として設置されました。ポーランドで民芸は民族文化の誇りとしてとらえられ、国家の文化外交手段としても使われました。(共産主義時代の政治的利用な一面ももちろんありますが、)このようにCepeliaの指導・運営の元各地の民芸家さんは外国で展覧会を開いたり、作ったものはすぐにCepeliaが買いあげてくれたり、定期的な注文を受け付けたりと、安定した活動をすることが出来ていました。

1989年に共産主義が終焉を迎えるとともに、Cepeliaも完全に政府系の団体としてではなく「株式会社」という体裁になります。株式会社である以上、Cepeliaで取り扱う民芸品も「売れる」ものでなければならなくなってしまいました。



会う民芸家さんは、口をそろえて昔を懐かしがります。効率と採算を追い求める現代社会には、時間をかけて丁寧に、丁寧にしあげる、非効率的・非採算的な民芸はあまりにも即していないかのようです。織物の村の織り手さんは「昔は近くの大きい街のCepeliaに織物を持って行くとすぐに、買い取ってくれた。今は委託でしか取り扱ってくれないから、3年お店にディスプレーし続けたものを売れませんでしたって平気で返してくる・・」と嘆いていました。


モノであふれる現代社会において、手仕事の価値を理解し、それを保護する意味も含め、高いお金を出して民芸品を買うというのは、なかなか簡単なことではありません。 しかし、美術館や博物館で展示品を眺めて昔を懐かしんでいるだけでは、私たちの思いは民芸家さんにはなかなか伝わりません。現代に生き続けている伝統工芸を「買う」ことは、「私は手仕事の価値を理解している」という意思表示であり、それは作り手と文化の保護に直接つながります。


今回の旅で、感じたこと。SLOW ARTの役割は、各地の作り手さんと日本のみなさんを近づけること。そして何よりも、手作りの価値を伝えて理解していただくことだと再認識しました。民芸品は、そのひとつひとつが手作りで、個性があり、時間をかけて作った分だけストーリーがあります。モノを提供するだけではなく、そのお話と一緒に伝える。それが、現地で作り手さんの側で活動する私の役割だろうと考えています。



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現在<東欧イースターエッグの世界展>が札幌presseさんで開催中です!東欧各地の職人さんが作った伝統的なイースターエッグが並んでいます。

お近くの方はぜひ。


 ■ 2011.7.15(金)~7.28(木) 札幌 Presse
札幌市中央区南6条西23丁目5-3
Tel: 011-299-7550 営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
http://momentsdepresse.com/

プレッセさんのブログでも展示中のイースターエッグの紹介をしていただいています。 http://september26.tumblr.com/
関連記事: 6つのタマゴの物語

2011/07/16

道端のマリア

ヤノフ村のマリア様

今回のポーランドフォークロアツアーは、去年同様自転車での旅だったので、車の通行量が多い国道や県道は避け、遠回りでも小麦畑や牧草地の間を走り、畑仕事から帰ってくる馬車と並走し、コウノトリの巣を横目で眺め、時には林を抜けて目的地の小さな村々を訪ねました。

ポーランドの道を走っていると、家など一軒もない草原の一本道に十字架が花とお供え物と共にたっていたり、田舎の点在するどの家々の庭先にもマリア様を祭った祠があったりします。日本にも、田舎に行くと道端に神仏の祠や道祖神、お地蔵様が祭ってありますが、ポーランドの道端の十字架や軒下のマリア様からもそうした派手ではない民間の素朴な信仰を感じることができます。

ということで、今回は自転車旅行の途中で出会った祠特集。

ウォビッツの町を抜けて北に10km程走った農地あったマリア様。野の草花とともに、お供えしたばかりの生花が美しく像を彩っていました。

こちらも切り絵を買いに行ったウォビッツ近郊の村にて。聖体祭を明日に控え、キリスト像が祀られた祠は虹色のリボンで飾られていました。

  木の幹に備え付けてある小さなマリア様。ウォビッツの民族衣装を着ています。「自分たちのマリア」。民間信仰の深さが感じられます。

畑の脇にしつらえてあった背の高い祠。屋根には十字架と小窓部分にマリアのイコン。十字架やインコよりも祠のほうがよっぽど存在感があります。



 コチラは大作の石碑。聖母子像を中心に、聖人達やイエスの受難が刻まれています。イエスの手元に飾ってあった一輪の花が印象的。

 畑の真ん中をはしる一本道に建てられたマリア様と十字架の祠。マリアの純潔の象徴、白いユリが飾ってありました。静謐で凛とした佇まい。


 ポーランドのキリスト像で特徴的なのが、この悩めるキリスト像。腰をかけて、肘をつき考え込んでいるポーズのキリスト像がよくみられます。村の彫刻家が彫ったのでしょう。素朴なキリスト像です。一枚目は家の軒下に、二枚目は古民家博物館の敷地内で。


家は見渡すかぎりどこにもないのに、十字架はあるという事実。畑に一つ。庭先に一つ。 ポーランド北部ヤノフ村の郊外は、特にこうした十字架や祠が多く、人口以上ではないかと思ったほどです。信仰心の厚さを感じます。

 ペインティングアートが盛んなザリピエの十字架

こうして、ポーランド各地で道端の十字架や祠の写真をとっていると、小学校の頃、自分の住んでいた町の祠や道祖神、一里塚を自転車で回ってレポートを書くという夏休みの自由研究ををふと思い出しました。ポーランドの道端のマリア様は同じように、道祖神として人々の安全を祈り、畑の十字架は豊作祈願なのだなぁと感じます。祈りの対象や形は違えど、民間信仰としての願いはどこでも同じだと感じました。

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現在<東欧イースターエッグの世界展>が札幌presseさんで開催中です!
お近くの方はぜひ。


 ■ 2011.7.15(金)~7.28(木) 札幌 Presse
札幌市中央区南6条西23丁目5-3
Tel: 011-299-7550 営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
http://momentsdepresse.com/

プレッセさんのブログでも展示中のイースターエッグの紹介をしていただいています。 http://september26.tumblr.com/


そうそう、前回の民族衣装特集。最後の民族衣装の方々は、ギリシャチームでした。実はおじさんの後ろに青と白の縞模様のギリシャの国旗がありました。 (コメントくれたノリさん正解!)南の熱い国なのに、革ずくめ、スカーフの温かそうな民族衣装が印象的でした。


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2011/07/11

東欧イースターエッグの世界展 後半巡回予定決定!


すでに東京・京都・長野を巡回して大好評をいただいている<東欧イースターエッグの世界展>の、後半の予定が決定しました。7月15日(金)から10月20(木)まで札幌・名古屋・福岡・大阪を巡ります。東欧6カ国、25種類のイースターエッグを展示・販売します。お近くのお店で開催の際には、ぜひお越しください!


<東欧イースターエッグの世界展>

<巡回予定>
■ 2011.7.15(金)~7.28(木) 札幌 Presse
札幌市中央区南6条西23丁目5-3
Tel: 011-299-7550 営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
http://momentsdepresse.com/

■ 2011.8.19(金)~9.4(日) 名古屋 Robin’s Patch
名古屋市千種区稲船通1丁目15-3
Tel: 052-734-3185 営業時間:12:00~19:00 
定休日:水曜日
http://www.robinspatch.jp/

■ 2011.9.15(木)~9.27(火)  福岡picnika
福岡市中央区谷1-10-3 2F
Tel: 092-400-0587 営業時間: 11:00~19:00 
定休日:水曜日
http://picnika.net/

■ 2011.10.6(木)~10.20(木)  大阪CHARKHA
大阪市西区北堀江1-21-11
Tel: 06-6537-0830
営業時間: 11:30~19:00 
定休日:火曜日
http://www.charkha.net

チャルカでは、ろうけつ染めのピサンキ(イースターエッグ)を作るワークショップが開かれます。講師は、ピサンキ作家の飯野夏実さん(コチラ)。どなたでもオリジナルの素敵なエッグをつくることが出来ます。東京・京都でもとても人気があったワークショップなのでぜひご参加ください。

2011/10/8(土)、10/9(日) 
11:30-13:30 (計2回、各定員6名)
*店頭又はFAX,メールにてお申し込みください。
(電話不可
FAX: 06-6537-0830

関連記事:6つのタマゴの物語

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2011/07/07

ポーランド民族衣装名鑑 2

旅の途中で訪れたカジミエシュ・ドルネのフォークロアフェスティバルで出会ったポーランド各地の民族衣装の数々。名鑑1にひきつづき、ご紹介します。

 


素朴なシャツに花柄のスカートというシンプルな民族衣装を着ているのは、ヴロツワフが県都でもあるDolnośląskie (ドルノシロンク)地方の女性たち。ドルノシロンスク地方は歴史的には、長くドイツの土地だったこともあり、ポーランド的な民族衣装というよりは、ドイツの影響を受けているのでしょう。








とても特徴的なこの民族衣装は、Wielkopolska ヴィエルコポルスカ県の衣装。襟元のレースとヘッドアクセサリーがとても可憐。

ここで、ポーランド民族衣装の歴史を少し:


 ポーランドの民俗文化、衣装の繁栄は農民たちに土地の所有が認められた19世紀後半に訪れます。豊かになった農民たちが、各地域の特徴を生かした民俗文化を発達させていきます。また、この時代に導入された機械織りの技術は、伝統的な織物の衰退を招きましたが、一方で農村でも安価に布が手に入るようになり、民族衣装の発展につながります。既存の刺繍やクロシェットレースに加え、この頃カラフルなチロリアンテープやリボン、スパンコールやビーズなども出回るようになりました。


宝石が使われ、民俗文化の粋が集められた民族衣装はとても高価なもので、家族代々の遺産として扱われていました。民族衣装は、単に土地や祖先への帰属を表す衣装というだけではなく、素晴らしい民族衣装を身につけることは社会的ステータスと富のシンボルともなっていたのです。

近年ポーランドでは、フォークロアフェスティバルや、村の行事の際以外には民族衣装を日常的に着るということがなくなっていますが、クルピエ地方やウォビッツなどでは今も結婚式や子供の洗礼式の際、キリスト教の行事の際なども頻繁に民族衣装が登場します。各地域には、必ずと言っていいほど土地の民謡やダンスを踊るフォークロアグループや民芸家さんがおり、現在は彼らを中心に伝統文化が守られています。

ただ、民芸家さんたちは概ね高齢・・ポーランドの民芸文化にすこしでも関わるものとしては、心配でもあります。

さてさて、民族衣装名鑑に戻りましょう。

 


マゾフシャ県Kołbiel地方の民族衣装。ポーランドの民族衣装によく見られるのが、赤いサンゴのネックレス。19世紀の終わりにイタリアから輸入されたサンゴでネックレスを作っていました。とても高価なものだったため、赤いガラスビーズでサンゴに似せて作られたネックレスなども多く出回りました。










こちらは、レース編みの村として有名なKoniaków (コニャクフ)の衣装。以前、このブログでもコニャクフ村の紹介を書きました(コチラから) 。コニャクフレースの特徴は、丸い花模様の連続レース。既婚女性がかぶるレース編みのキャップが特徴的です。この地方の既婚女性は夫以外の男性に対しては髪の毛をこの帽子とスカーフで隠して見せないという伝統があります。どこの国でも髪は女性の命ですね・・




 コニャクフのレース



マゾフシャ県から来た家族。小学生くらいの女の子からおばあちゃんまで、ばっちり民族衣装が似合っています。 民俗衣装とは、その土地の人の生活や文化、伝統に密着しているものだから、年齢は選ばないものなのですね。

カジミエシュドルネのフェスティバルで出会った、様々な土地の人たちを紹介してきましたが、民俗文化が色濃いポーランド、この他にもまだまだ沢山の個性的な民族衣装があります。又、別の機会にも紹介したいと思っています。

おまけ:


 ↑は、別のフェスティバルで出会った方々。ポーランドではなく、招待された他の国のフォークロアグループです。一見1枚目と2枚目の写真は、全く別の国の民族衣装のように見えますが、同じ国の人たちです。どこの国の人たちか、わかりますか?

答えは次の投稿で;)




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