2010/06/23

ポーランド切り絵の世界~消えゆく伝統~

今週は、<ポーランド切り絵の世界展>の開催に伴い、ポーランドの切り絵についてお伝えしています。昨日の記事では、展覧会でも展示している、切り絵の里、Łowicz(ウォビッツ)とウォビッツの切り絵作家達をご紹介しました。ウォビッツの切り絵は、その繊細さと色使い、多くのモチーフなどからポーランド国内外で有名ですが、今では、廃れてしまった地方の切り絵もポーランドにはたくさんあります。本日は、ウォビッツ以外の地域の切り絵について、ご紹介します。

ポーランドの切り絵は、19世紀の前半に、ワルシャワが、県都でもあるマゾフシャ県の村々に広がりました。各地方では、その土地独自の切り絵が作られるようになります。しかし、一時期は、民家の飾りや村のお祭りの際の飾りとして、盛んだった民芸品の切り絵も、今は多くの地域で後継者がおらず、消えゆく伝統となっています。

ワルシャワ南部Powiśle(ポヴィシュレ)地方の切り絵もその一つです。すでに、1984年の調査では、後継者がいない、消えゆく民芸として、レポートが書かれています。




 Maria Łysiak 1956年
Zofia Świderska 1975年
Rozalia Kowalczyk 1956年

また、以前上海万博のポーランド館の記事でご紹介した、Kołbiel(コウビエル)地方の切り絵も、実は、後継者不足の為、消えゆく伝統の一つです。
Maria Żurawska 1975年
Maria Piętka 1975年

Puszcza Biała(プシュチャビアワ)地方の伝統民芸としてのカラフルな切り絵はすでに過去のものとなってしまっています。

Aleksandra Liwska 1960年

Maria Świadkowska 1962年

ウォビッツ同様、未だ、村の伝統民芸として切り絵を作り続けている地域もあります。Kurpie(クルピエ)地方の切り絵は、単色ですが、とても細かく、職人の技術が要する美しい切り絵です。又、クルピエ地方独特の人や家畜、植物などを描いた切り絵は、とてもかわいらしいものです。

Czesława Marchewska 2003年
Stanisława Bakuła 1958年

このように、ポーランドの切り絵は、その地方、地方でその土地独自の民芸品として、庶民、農民たちの間で親しまれました。残念ながら、後継者がおらず、過去のものとなってしまった切り絵も多くあります。しかし、それらの切り絵もデザインとして、素晴らしく、上海万博のパヴィリオンのデザインに取り入れられるなど、新たに価値を見出す、若手のデザイナー達は少なくありません。これからも、一般庶民が作りだした伝統、文化を、大切にしていきたいものです。

Antoni Śledziewski 編著<WYCINANKA POLSKA>は、ポーランドの全ての地方の切り絵がオールカラーで載っている、貴重な資料です。今回の展覧会にも置いてありますので、ぜひご覧ください。



本日で、プチマルシェ伊那店さんでの切り絵展は終了いたしました。
数多くの方にご来店いただきました。ありがとうございました!


<ポーランド切り絵の世界展>
le petite marche 伊那店
2010/6/1(火)~2010/6/23(木)
長野県伊那市富県1777-557
T/F 0265-96-0657
営業時間:11:30~21:00
不定休

http://www.owari.ne.jp/~petit/index.html


次回巡回地:東京

ČEDOK TOKYOSTORE
2010.6.29(火)~2010.7.10(土)
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ・竹澤ビル404
T:03-6240-9500 営業時間:13:00~19:00 定休日
:日・月
http://www.cedok.org/

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