2011/02/25

<ドイツ少数民族ソルブのタマゴを求めて2>


<東欧イースターエッグの世界展>開催に向けお届けしている6つのタマゴの物語(プロローグへ 第1話へ  第2話へ 第3話(その1)へ)。

(前回までの話)

写真左下のソルブのイースターエッグを求めて、ドイツに暮らすスラブ系少数民族、ソルブ民族の村シュライフェにやって来た私、民族博物館にてどうにかイースターエッグを作っているのおばさんの住所を入手、アポイントもないまま、ドイツ語もソルブ語もわからないまま(!)、アーティストのおばさんの家のチャイムを鳴らしたのでした。

チャイムを鳴らしてしばらくすると、出てきたのは大学生くらいの女の子。私が持っていた民芸博物館のイースターエッグの資料を見るなり英語で「タマゴ見に来たの?」だって(!)何たる安堵。言葉が伝われば、話も早い。自己紹介をして、ぜひソルブのイースターエッグを見せてもらいたい旨を伝えると、どうぞどうぞと家の中に通してくれました。今回訪ねたイースターエッグアーティストは、彼女のお母さん。

Kerstin Hanusch (ケルスティン・ハヌシュ)さん。<東欧イースターエッグの世界展>のDMにも載っているこの人です。

丁度ケルスティンさんも在宅でした。私が日本での展覧会のこと、ソルブのイースターエッグをどうしても購入したい旨を伝えると、ケルスティンさんは「今年のイースターマーケットの際の残りがあるから」と、地下のアトリエからたくさんの、それはそれは美しいタマゴを出してきてくれました。

これは、蜜ろうで柄を描き染色液に染める方法でタマゴを装飾する<ろうけつ染め>のイースターエッグ。

ソルブのイースターエッグには、3通りの装飾技術、<ろうけつ染め><エンボス(カラーの蜜ろうを塗りつける方法><エッチング>のものがあると事前調査済みだった為「エンボスやエッチングのものはないでしょうか・・」とさらに図々しく突っ込む私に、「エッチングは作らないからないけど、エンボスのものだったら今少ししかないから、又戻ってこれるんだったら、明日までにできるだけ作っておいてあげるわよ。」ですって!嬉しいなぁ。ツイてるなぁ。もちろんお願いしました笑。

気が大きくなった私は、「作るところも見せてもらえませんか!?」とさらにお願い。ケルスティンさんは、「いいわよ。いいわよ。」といって、地下の工房に案内してくれました。

ケルスティンさんのアトリエでソルブ民族のイースターエッグ作りがはじまります。

スプーンに入っているのは、色をつけた蜜ろう。赤に、青に、ピンクに、緑に・・ソルブの色です。それを、下からロウソクの熱でゆっくりと溶かします。


これは、デコレーションに使う筆。ガチョウの羽の先をさいて筆先を整えてあり、一定の模様が描けるように作られています。

その筆先に溶かした蜜ろうをつけ、スタンプを押すような感覚で模様を描きます。ケルスティンさんはとても早く絵付けをしているように見えるのですが、これ本当に、力加減やまっすぐ線を書くこと、均一に蜜ろうを塗りつけることなど、とっても難しいんです。

この続きは、動画でどうぞ!



色々な筆を使って、丁寧に模様を描いているのがわかります。ケルスティンさんは毎年イースターフェアの際には何百個ものイースターエッグを作るそうですが、一つとして同じ模様は存在しないんだとか。職人っていうのは、こういうコトだなぁと関心。皆さんも、日本での企画展にお越しの際には、ケルスティンさんのイースターエッグ、様々な模様や色を注意深く御覧ください。

ところで、ドイツに住む少数民族のソルブ民族。ケルスティンさん一家もソルブの血を引く家庭なのですが、家庭内はドイツ語で話し今ではほとんどドイツ人の一般家庭と同じ暮らしです。

「ソルブ語は話さないんですか?」と聞いたところ、娘さんは「おじいさん、おばあさんの代は話していました。その後東ドイツは共産主義になりドイツ語教育がなされ、父・母の代ではソルブ語が話されなくなり、共産主義の終りと共に、今又学校や文化センターではソルブ語や文化教育が盛んになされるようになりました。ただ、親の世代が話さない言語を子供たちが話すことは、あまりありませんね」とのこと。時代に翻弄されて、今一つの言語がなくなってしまうのか。。どうにかして食い止めてもらいたいものです。


<東欧イースターエッグの世界展>では、ケルスティンさんのろうけつ染めとエンボス細工のタマゴの他にも、宝石のカッティングのように美しいRainer Grosa (ライネル・グローサ)さんのソルブ民族のエッチングエッグも展示予定です。Rainerさんを訪ねた話は、また別の機会に。。


<東欧イースターエッグの世界展>詳細:SLOW ART web

そうそう、イースターマーケットの為に何百個もつくるイースターエッグ、中身はすべて抜いてあります。中身どうするの?と聞いたところ、お酒にするのだそう。それを、次のイースターまで家族や、ご近所、お友達と楽しむのだとか。なるほど、タマゴ酒にもとても興味がでた、SLOW ARTでした。



次回は、ポーランドの驚きの方法で作るイースターエッグをご紹介します!

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1 件のコメント:

  1. こんばんは。
    ソルブに興味を持っている友人が、数年前にドイツでイースターエッグを買った話を聞いていたので、こちらのブログを紹介し、写真を送ってもらいました。紺色に水色と白の、花模様のような幾何学模様のようなろうけつ染めで、卵を飾ってあったボレスワヴィエツのお皿の色にぴったりでした。

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