2011/10/29

不思議の国の鞄職人

ただいま東京チェドックさんで<ウクライナ・フツル民族の手仕事展>好評開催中です。

今日は、革職人バシル・キルシュチュックさんの話。

フツルの町コシブに住むバシルさんを私が知ったのは、↓の番組をみてから。ウクライナの工芸家にレポーターの女性が弟子入りして、工芸品を一緒に作るという番組。


フツル民族の羊の皮を使った革細工はとても有名です。17世紀頃からベルトや靴、バックやサイフなどの小物、ジャケットや、ブックカバーなど日常の様々なものの革製品が作られています。
バシルさんも家族代々つづく革職人。一つ一つ手作りのかばんやブックカバーは、確実な技術に裏打ちされた伝統的でありながら、バシルさん独自のデザインが光る一級品ばかりです。

 
そんなバシルさんを訪ねたときのこと。バシルさんは外出中でしたが、バシルさんの家の軒先で家主の帰りを待つことにしました。バシルさんの庭に足を踏み入れた途端、とても不思議な世界に足を踏み入れてしまったような感覚におちいりました。

それは、

  時間のとまった時計に半分に割れた古い木工細工
 納屋の壁には革のかばんや陶器のさら、そろばんに、鳥小屋・・・・
 なぜかボトルのキャップがかぶされた十字架のキャンドルホルダー

 庭には棚が置かれ古道具がならべられ皿の中には焼き菓子がもってありました
 織りかけの織物がかかった古い機(はた)


羊飼いの斧の後ろには羊のツノが・・・・・




 古い道具や工芸品が乱雑にほっぽり出されているように見える庭ですが、そこにはある種の統一感があり不思議な世界を作り出しています。あぁぁまさに芸術家・変人(褒めことば)の庭。脱帽。このフツルの不思議の国に落ちいったアリスならぬ、私はドキドキが収まりませんでした。これから会う革職人は一体どんな人なのだろうと。

帰ってきたバシルさん。こころよく工房に通してくれました。バシルさんの工房にはところ狭しと彼の作ったバッグが天井から掛けてあります。どれもすばらしい物ばかりで、言葉を失います。

あれも、欲しい、これも欲しいとお願いするのですが、「これは20年前に作った思い出のバッグだから売れない。」「これは、サンプルで吊るしてあるだけだから売れない。」「これはお気に入りだから売れない。」・・・どれも、売ってあげたいけど譲れないなぁとw。

 きっと、工房の雰囲気が壊れてしまうのがいやなんだろうなぁという感じ。商売っけは全然ないわけです。まぁ私一見さんだしね。バシルさんの職人魂と作品への愛着に触れました。ただ、ここまできて素晴らしい作品を前に私も引き下がれないわけです。
そこで、バシルさんの物置の壁に貼ってあるポスターを発見!

賀来千香子!!!!
こんなウクライナの田舎で賀来千香子の古いポスターに出会うなんて。しかも、このポスターは2代目日本美人だということが発覚(笑)(一代目は水着美人だったそう・・w)。なんだ、バシルさん日本(女性)好きなんじゃん!ここから私の日本プッシュが始まります。「バシルさんからバッグを譲ってもらえれば、日本の展覧会にたくさん日本の女の子が見に来る」「きっと日本の女の子たちはみんなバシルさんのカバンを気に入るはず」「いや、バシルさんを気に入るはず!」

 交渉(?)の結果、バシルさんのかばん3点ゲット!いやぁ、<職人>も結構単純!おもしろ。バシルさんの日本(女子)愛に助けられたわけですw。強いて言えば、展覧会に来てくださる(来ていただいた)女性の皆様どうもありがとうございます。皆様のおかげです。

バシルさんが最後に選んだバッグの調整をしてくれました。フツルのバッグはエンボス・アップリケ・彫金やステッチなどでとても細かな細工が施してあるのが特徴的です。

そんな不思議の国の革職人バシルさんに譲ってもらった貴重なフツルの革バッグは東京のチェドックさんで展示・販売中です。世界に一つしかない、こだわりの革バッグぜひ直にご覧下さいね。

おまけ:バシルさんの台所兼ダイニング。もうセンスありすぎ!

■チェドックザッカストア (ただいま開催中!!)
 2011 10.27Thu-11.13Sun
東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビル404
TEL 03(6240)9500
OPEN 12:00-19:00
CLOSE 期間中無休

Robin's Patch 
 2012 1.12Thu-1.31Tue
愛知県名古屋市千種区
稲舟通1-15-3
TEL 052(734)3185
OPEN 12:00-19:00
CLOSE 水曜日

Letenka
 2012 2.11Sat-2.29Wed
徳島県徳島市末広4-8-32
TEL 088(612)8800
OPEN 12:00-19:00(土日祝-18:30)
CLOSE 金曜日
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2011/10/26

祝・開幕 フツルの手仕事展

Будьмо!(乾杯)!


本日(10月27日木)から東京チェドックザッカストアで、ウクライナ・フツル民族の手仕事展が開催されます。途中、ポーランドから日本に送った荷物がポーランド郵便局や税関の手違い(!)や勘違い(orz)で返送されたり、とめられたりして、一時は開催日を遅らせるか・・とお店と相談をしたりもしていたのですが、最後に残り一箱を日本郵便局が成田の通関からお店まで半日で届けてくれるという偉業をなしとげてくれたお陰で、全ての商品が前日までに到着しました。チェドックの谷岡さんの協力もあり、無事初日を迎える事ができました。

ポーランドに いてなお感謝 日本の仕事 (字余り)

このドタバタ劇のせいで毎日ハラハラして過ごしていたので、私も今まで以上に感無量です。

このブログでこれまで紹介してきた、刺繍民族衣装や、オレグさんのグッチが惚れたピサンキお守り人形モタンカ 陶器などなど揃っています。またその他にも織物や彫金アクセサリー、皮細工のバッグや、木工細工などもあります。全ての展示物は直売されているので気になる方はお早めにどうぞ。このブログでも引き続き、展示されている工芸品や職人さんの話を続けます。


 ■チェドックザッカストア
 2011 10.27Thu-11.13Sun
東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビル404
TEL 03(6240)9500
OPEN 12:00-19:00
CLOSE 期間中無休
* チェドックさんのブログでは展示風景や販売状況、実際の商品についてお知らせをご覧になれます。コチラもあわせてお楽しみください。
http://ameblo.jp/cedoktokyo/






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2011/10/24

刺繍をまとう

フツル民族の手仕事展まであと3日(10月27日木開催)となりました。本日は、きっと興味がある方もたくさんいらっしゃる民族衣装のはなし。

フツル民族の民族衣装の中でも最も特徴的なのが、美しい刺繍が施されたブラウスでしょう。フツル地方の村々には、伝統的に受け継がれてきた刺繍パターンやテクニック、色彩があり、その刺繍をみただけでどこの村の出身か分かったそうです。

 女性のブラウスには襟(えり)、肩、袖口にぎっしりと刺繍が施してあります。この美しい刺繍は災いから身を守るための厄除けの役割をしていたそうです。
























ブラウスには手織りのリネンと羊毛の糸などが使われました。フツル地方の刺繍には、nyzynka(ニジンカ)とよばれるダーニングステッチやクロスステッチがよく用いられ、幾何学模様から波模様、十字やシグマ、植物などの様々なモチーフが縫われました。

フ ツル地方の中心の町コシブにある個人の収集家が開いている美術館には、ウクライナ・カルパチア山脈の様々な地域の刺繍パターンが展示してありました。これを見るだけで も、色とりどり、模様も異なる様々なパターンが存在することがわかります。昔は村の数だけ刺繍も存在したんですね。(写真はクリックすると拡大します)フ ツルの人々の色彩感覚の豊かさが感じられます。


































フ ツル民族の手仕事展では、美術館のコレクターにゆずってもらった貴重な民族衣装ブラウスや街の刺繍マーケットで見つけた1900年代前半のヴィンテージブ ラウスなどカルパチア地方の素晴らしい刺繍ブラウスをご覧いただけます。購入もできますので、気になる方はお早めにどうぞ;)



100年前の誰かが丁寧に一針一針愛情をこめて縫ったあとが、感じられる刺繍ブラウスです。

■チェドックザッカストア
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2011/10/19

チーズで作られたウマ


今日はフツル民族独特の工芸品、チーズ細工の話。

山岳民族のフツル民族は、伝統的に羊飼いを生業にしていました。羊は羊毛、革、肉やミルクなどフツルの人々に恵みをもたらしてきました。又、フツルの羊のミルクで作ったブリンザと呼ばれるチーズは有名です。

 そのチーズでフツルの人たちは、人形や動物のフィギュアを作り古くは儀式などに使ってきました。一見、チーズで人形を作るのは、おかしなことですがフツルの人々は粘土や蜜蝋よりもより家庭内で身近にあるチーズを好みました。

現在でも、チーズ細工はフツルの人々の間で子どものおもちゃとして、飾りとして、また食べ物として作り続けられています。

 チーズ細工で有名なブルストゥレ村のオルガさんがチーズ細工を作ってみせてくれました。 オルガさんは、おばさんからチーズ細工を習ったそうです。

今回使ったのは、自分の家の牛からしぼったミルクで作ったチーズ。出来立てのチーズはふわふわと柔らかく、牛乳の優しい香りがします。

 小分けにして、柔らかさをたもつようお湯につけておきます。

これを手早く成形

 こちらは、コシブの市場で売っていた一口サイズ、食用のチーズ・ホース。みんなこれを買って、食べあるきながら市場を散策していました。 
こちらは、マスターコースというウクライナの番組。牛から牛乳を搾って、チーズを作り、チーズ細工が出来るまでをご覧になれます。こんな風に手をかけて作られているんだと思うと、チーズの馬にもとても愛着が湧いてきます。

ちょっと変わったチーズ細工。フツル民族の手仕事展で展示予定ですので、凛々しくも愛嬌のあるフツルのチーズウマぜひ直にご覧にいらして下さい。<チーズ>の概念がかわりますよ;)

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2011/10/14

国民的お守り人形


前回のオレグさんのピサンキの記事から少しあいてしまいました。すみません・・今月末から始まる<ウクライナ・フツル民族の手仕事展>のパネル作りや商品の発送を今週やっとすませました。あとは、荷物がチェドックさんに届くのを待つのみ。問題なく配達されるといいのですが。

さてさて、今日はウクライナのスピリチュアルなお人形の話。

伝統的なものや古いものには神話や伝説、信仰なんかがつきものなのですが、今日紹介するウクライナの人形、Lyalka Motanka(リャルカ・モタンカ)もそのひとつ。


ウクライナでは、モタンカの始まりはなんと旧石器時代という説もあるそう。モタンカは、女性の知恵と家族の絆を表したお守り人形です。結婚する娘の為に母親が作ってもたせました。


モタンカの作り方も大切です。モタンカに着せる服の布は、母親や祖母が着てきた衣装の一部や伝統的な土地の刺繍を自ら施した布が使われました。又、人形に縫いつける際は、針は一切使われず、糸で<巻きつける>ことが必要とされました。このことからモタンカは<Reeled doll (巻きつけられた人形)>という呼ばれ方もされます。

また、この人形の最大の特徴である十字に結ばれた顔は、古代からの太陽神のサインを表しています。お守り人形の所以は、太陽神のご加護があるからというわけ。
モタンカは、持つ人を災いから守り、幸せや富を呼び込み、また衣の一部をさわって願い事をすると、夢をかなえてくれるといいます。

ウクライナでは、全土にある国民的お守り人形です。今回のフツルの手仕事展でも、ウクライナ各地の刺繍を施したモタンカが揃っています。

 作ってくれたのは、ナタルカとターニャ姉妹。独自の美的センスが光る彼女たちのモタンカは、ウクライナの芸術コンクールでもなんども入賞を果たしています。伝統にこだわり、人形に着せるリネンの布織りから刺繍、仕上げに至るまで、全て手作業で行なっています。

刺繍の美しさもさることながら、モタンカのもつオーラも独特です。古代から受け継がれてきたお守りのチカラがどんなものなのか、見て感じてください。

また、今回は特別にウクライナ各地域の伝統的なモチーフをあしらったブックマークもナタルカとターニャに作ってもらいました。とても素敵なものばかりなので、ぜひ手にとって、じっくり選んでみてください。

ウクライナフツルの手仕事展は今月27日からです。


*今回の記事に載っている写真は、ナタリアとターニャ姉妹が提供してくれたものです。 写真の転載はご遠慮ください。


 (ただいま開催中! 20日まで)


■チャルカ
2011.10.6(木)~10.20(木)  
大阪市西区北堀江1-21-11
Tel: 06-6537-0830 営業時間: 11:30~19:00
定休日:火曜日
http://www.charkha.net/



リヴィウのお祭りの際作られた最大のモタンカ


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