こんにちは。先週くらいまでは、徐々に暖かくなってきていたポーランド。ポンチュキも食べたし、そろそろ冬が終わりに近づくか・・・と思いきや、今週は毎日のように雪が降り、今日も-8度。完全に冬に逆戻りでした。
娘は、ポーランドの冬生まれなので、マイナス気温や雪が続くと中々お散歩にも行けず、家の中で過ごすことが続いています。
家の中では、私の母がポーランドに来た時に持ってきてくれた絵本を色々と読んでやってるんですが、「おおきなかぶ」福音館書店 もそのひとつ。裏表紙には~読んであげるなら3才から~って書いてあるけど(まだ4ヶ月だけど・・)、ま、いっか。
とっても有名な大ベストセラーで、私も子供の頃読んでいたはずですが、娘に読んでやるようになって、大人の目線でみてみると、「おおきなかぶ」の佐藤忠良の挿絵がとっても素晴らしく、私自身は画集をみているような気分で読み聞かせしています。ダイナミックで、リアリスティック、ファンタスティックを併せ持っているような絵です。
うんとこしょ、どっこいしょ!(名訳!)
これ、もともとはロシアの民話で、絵本もロシアのおじいさん、おばあさん、孫、犬、ネコ、ねずみが描かれています。
日本人が描いたとは思えないほど、空気感まですっごくロシア的。ポーランドの田舎とはまたちょっと違うんですよね。うん、ロシア(2回目w)
佐藤忠良は、私でも知っているくらい、とても有名なブロンズ像の彫刻家ですが、調べてみたら「おおきなかぶ」をはじめ、いくつかの絵本の挿絵を描いていました。
ゆきむすめ 内田 莉莎子再話/佐藤忠良画
子供のいないおじいさんとおばあさんが作った、雪でできたむすめが、ある日歩き出し、本当のむすめのようになり、、しかし夏が来ると又いなくなってしまうという話。「おおきなかぶ」と同じ内田 莉莎子再話/佐藤忠良画コンビのロシアの民話
ババヤガーのしろいとり 内田 莉莎子再話/佐藤忠良画
弟を白い鳥に連れ去られてしまったマーシャが、白い鳥を追いかけていき、ペチカや林檎の木やミルクの川に助けられ、やまんばババヤガーのもとから、弟を救い出すお話。ロシアの民話。これも、内田 莉莎子再話/佐藤忠良画コンビ
佐藤忠良が絵を描いた絵本は、ロシアの民話が多いんですね。なんでロシアにこだわったのか、彼の年譜をみてみると、戦後3年間シベリアに抑留されていたとの記載がありました。そして、これらは、彼がシベリアに抑留されていた時に聞いた、ロシアの民話だそうです。
佐藤先生の絵は隅から隅まで動いている。息遣いが感じられる絵です。それに生活感があります。シベリアで生活していらっしゃいましたから、ロシアの農民の生活感というのを実感としてもっていっらしゃる。佐藤先生は「僕は捕虜のときに紙もなくて書く鉛筆も何もなかった。だけど、毎日目でデッサンしましたよ」とおっしゃったのを今でも覚えています。「ちゃんと物を見て、そして自分の中でデッサンした。書くものはないけれど、毎日毎日デッサンした。」と。捕虜時代にそういうことまでやっていらしたのですね。だからすごいですよ。『おおきなかぶ』はそういう体験で出すことができました。
うーん、やっぱりそうだったのか。あの絵は、ロシアの田舎を実際に体験して(しかも、壮絶な体験)、心に描いた絵だからこそかけたリアリティと生活感に満ちた絵だったんだと、とても納得しました。
それにしても、必死のシベリア抑留という、二度と戻りたくないというような経験にもかかわらず、そんな中でも、芸術の心を忘れず、心に描き続け、日本に帰ってきてからはロシアの素晴らしく、温かい面を紹介したという、強い人だなと思います。
「強い人は優しい」というのは佐藤忠良本人の言葉
おおきなかぶ、次回にもひっぱります。次回はおおきなかぶ、ポーランド編
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■京都恵文社一乗寺店
2013.2.15(金)-2.28(木)
京都市左京区一乗寺払殿町10
Tel: 075-711-5919
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営業時間:10:00~22:00
定休日:無休
http://www.keibunsha-books.com/
*ちなみに、店頭販売終了後は恵文社さんのウェブショップでの取り扱いも予定しています。
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