2011/12/25

クリスマスの手引き ~イブの食事~



ク リスマス休暇で夫の実家に帰省してきました。24日は朝からパン屋にパンを買いに行き、クリスマスツリーの飾り付け、プレゼント包み(ポーランドは基本的 に素敵な包装はしてくれません)、食事の準備、クラクフのおばさんを迎えに行って、、と準備で大忙し。その間に私がツリーのボンブキ(オーナメントボー ル)を3個落っことして割り、ママが魚を焼きながらオイルの瓶を落っことして割り、伯母さんがティーポットのフタを落っことして割り・・・と、カシャー ン・ガシャーンという音が絶えず響いていました。。ポーランドで何かを落として割ってしまったら「Na szczęście!(幸運を!)」と言いましょう。



一番星がでるのを待って食事をはじめます。冬至が過ぎたばかりの今の時期は、暗くなるのが16時前くらい。食事の前にオプワテクと呼ばれる白いウェハースを参加者が分けあいながらお祈りをし合います。


さて、ポーランドのクリスマスイブの食事は12使徒の数にちなんで12種類用意するのが良いとされています。また、イブの食事は肉なし、鯉を食べます。昨日のイブの夕食に並んだ義母が数日前から一生懸命用意した伝統的な12種類の食事↓




 1.ウシュカ入りバルシチ
 ウシュカはスキャベツときのこの煮物のラビオリ。クリスマスのバルシチは肉のダシを一切使わず、数日前から発酵させて酸味を出したビートのジュースとにんにく、乾燥きのこなどからだしをとった澄んだスープです。



2.いんげん豆の煮物
 バルシチに入れても美味しいです


3.鯉のゼリー寄せ
 焼いた鯉はまだ食べられるけれどこれは少し苦手


4.鯉のフライ



5.フライ用のタルタルソース
これは私が作ったオリジナル
 

 6.スキャベツときのこのピエロギ


 7. スキャベツときのこの煮物


 8. スキャベツと乾燥えんどう豆の煮物


 9. カシャ(蕎麦の実)のゴウォンブキ(ロールキャベツ)


10. ドライフルーツのコンポート


11.ポルチーニ茸のソース


 12. にしんのオイル漬け


~別腹~


 ケーキ
ケーキはケシの実のケーキマコーヴィエツや、チーズケーキ・セルニック、シナモンケーキ・ピエルニク

普 段はあぶらっこい肉料理が中心のポーランド料理ですが、この日は肉が一切入りません。昔は冬のこの時期は野菜もなかったのでスキャベツや乾燥きのこ、豆を 使ったものが多いです。素材の味を生かした素朴なものが多いですが、一つ一つ作るのに手間や時間がかかるものばかりです。

イブの日は肉なしですが、25日のクリスマスは盛大に肉を食べますよ!


 食事のあとは、プレゼントタイム。ポーランドのクリスマスはサンタクロースは来ないので(サンタの日は12月6日)、クリスマスのお星様が届けてくれる(・・・)プレゼントをツリーの下に並べて親戚どうしで祝い合います。

その後深夜にかけて行われるパステルカとよばれるミサに出かけます。


25日の今日・明日・あさってもごちそうリレーが続きます。

順番が逆転してしまったのですが、キャロル隊については次回に


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2011/12/21

クリスマスの手引き~一年の計はクリスマスにあり・しきたり・迷信~

Wigilia, Antoni Jopkiewicz, 1997, olej na płótnie ze zbiorów MWR

ポーランドでクリスマスが最も重要な行事であるからには、それにまつわるしきたりや、迷信、言い伝えなども多く存在します。ポーランドではJakiś w Wigilię, takiś cały rok> (一年の計は(元旦ならぬ)クリスマスイブにあり)という諺があるほど。クリスマスの日は喧嘩をしてはいけない、協力して家をきれいにし、家族一緒に過ごすこと。と、イブやクリスマスでの行いや態度が大切とされています。

ということで、本日はクリスマスにまつわるしきたり、迷信を集めてみました。


● クリスマスイブの夜は一番星が夜空に現れるのを待って食事を始めます。食事の前には、opłatek(オプワテック)とよばれる聖人やイエスの降誕シーンを描いた白いウェハースを家族同士で交わして食べながら健康と幸福などを祈りあいます。

● 馬小屋で生まれたイエスの降誕場面を再現するため、部屋の角には麦わらが置かれました。今は食卓のテーブルクロスの下に麦わらの束を入れておくのが一般的です。

●クリスマスイブの食卓にかけられるテーブルクロスは祭壇同様純白なテーブルクロスが使われます。

● イブに出される料理の数は12種類がよいとされています。

●それとは対象的に参加者は偶数が良いとされました。また、突然の訪問客のためにだれも座らない椅子を一脚用意するはクリスマスやキリスト教の共有精神を表した大切なしきたりです。


●冬でも緑の葉と白い実をつけたヤドリギは生命のシンボルとされ、クリスマスの飾りとなっています。

●食事がすんだらクリスマスツリーの下に置かれたプレゼントを開ける時間です。ちなみに ポーランドのサンタは1月6日の聖ミコワイの日に訪れ済みのため、イブの日はお星様がくれるプレゼントということになっています。子供たちは12月に2回 もプレゼントが貰えていいですね・・・大人はその分大変だけど・・・


●食事のあとは24日から25日の深夜にかけて行われるPasterkaとよばれるミサに出かけます。ミサではイエスの降誕を祝うと共にクリスマスキャロルが盛大に歌われます。

●クリスマスの日に教会から持ち帰った聖水を家に撒き、残りは井戸に流し入れ、家の水を清めます。この水は、一年間災から身を守ってくれると信じられています。

さて、次は迷信

●クリスマスイブの夜は動物たちが話しだすと言われ、マゾフシェ地方ではオプワテックや残りの食事を家畜に与えます。動物たちがこの日にしゃべるのは、馬小屋で生まれたイエスのまわりにいた動物たちがその聖なる力を分け与えられたから。とか

●食後にテーブルクロスの下に敷いたわらを引きぬいてするくじ引きもあります。長くて太いわらを引きあてると一年健康に過ごせる。反対に途中で折れていたり短く丸まっているようなわらを引くと病気や災の予兆。


●クリスマスイブの日は先祖の魂が帰ってくる、とも言われています。 ポドラシェ地方では、残りの食事をかまどの前に置いておき、その前の床にかまどの灰をまいておきます。翌朝、その灰に残る足あとで誰の魂が訪問してきたか わかるようにしたそう。ほんとに足あとが残っていたらゾクッとしますね・・・

●結婚したい女子のための結婚占いもあります。クリスマスイブの夜寝る前に結婚前の女の 子は花・ロザリオ・気になる人の名前を書いたカードを枕の下にいれて寝ます。翌朝目をつむり枕の下から引き出した最初のもので占います。花であれば婚姻は 近し、ロザリオは晩婚、名前カードは好きなひとに思いが通じ将来の旦那さんになる・・・だそうです。


こうして書いていると、クリスマスでも日本のお正月でも結果的には似たようなしきたりや道徳的な教えだなぁと思いました。宗教が違えど、人の願いや倫理観は一緒ですね。

クリスマスまであと4日☆彡
次回はキャロル隊コレンダ

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2011/12/20

クリスマスの手引き ~切り絵の中のクリスマス~

<クリスマスの手引き>今日は、ポーランドの切り絵で見るクリスマス



昨日ご紹介した<パヨンク>はポーランドオリジナルのクリスマスの飾りでしたが、切り絵が盛んだったウォビッツやクルピエ地方の民家では、切り絵も華やいだ雰囲気を作り出す部屋のデコレーションとしてクリスマスに向けて女性たちが準備し、部屋に飾り付けをしました。

こちらは、クルピ絵地方の古民家の祭壇の様子。マリア像や聖母子像を囲んで切り絵や花、パヨンクが鮮やかに飾られています。

クリスマスやイースターの日は特に入念に飾り付けをしたそうです。

切り絵は、ニワトリや花などのモチーフが有名ですが、村の人々の生活の様子を描いたKodryとよばれる切り絵にはクリスマスの様子も登場します。




Grażyna Głądka(グラジナ・グワドカ)

 
Grażna Gładka
Grażna Gładka

下はキリスト生誕の場面を描いたHelena Miażekさんの作品。ベツレヘムの星がイエスの誕生を知らせます。ポーランドでも24日の夜、一番星が見えるのを待ち、家族が食卓を囲みクリスマスイブの夕食を始めます。

Helena Miażek

Helena Miażek





こ ちらは、このブログでも以前ご紹介したウォビッツに近いSoromów(ソロムフ)村にあるブジョゾフスキ家の民芸館。切り絵ではないんのですが、キリスト生誕場面の ショプカを囲んで東方三博士やそれにつづいて村の人たちが祝福に訪れている様子。切り絵でもそうですが、キリスト誕生の祝福に来るのがウォビッツの民族衣 装を来た村の人達であるのが微笑ましいです。
 カードの小さい作品ですが、こういう脱力系もなかなかいい味だしてます
  


ちなみに、現在来年山梨の富士川・切り絵森美術館さんで開催する<ポーランドの切り絵展>の準備をしています。本日ご紹介したヘレナさんやグラジナさんのクリスマスの作品も展示予定です。詳細はまた後日お伝えします!





クリスマスまであと5日

明日は<一年の計はクリスマスにあり>
~ポーランドクリスマスの迷信、言い伝え~☆彡







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2011/12/19

クリスマスの手引き ~ポーランドのクリスマスツリー・パヨンク~


今週末は、クリスマス。カトリック教国のポーランドでは、キリストの誕生を祝う一年で最も大切な祝日です。又、ポーランドのクリスマスは日本のお正月同様、家族で祝う行事です。

さて、クリスマスウィークに突入した今週は、昨年に引き続き、<ポーランドクリスマスの手引き>をお送りしたいと思います。(昨年の記事はコチラから)

 今年のテーマはフォークロア・クリスマス。古き良きポーランドの田舎のクリスマスやクリスマスのフォークアートをお伝えします。

 今 日は、Pająk(直訳:蜘蛛クモ)の話。Pająk(パヨンク)は、ポーランドの農村の家庭でみられた天井からつるす部屋のデコレーションです。上の写 真は切り絵で有名なウォビッツの農村の室内の様子。天井からさげられた色とりどりの花で飾られたくす玉シャンデリアのようなものがパヨンクです。

パヨンク(蜘蛛)という名前は、その姿からでしょう。ライ麦のわらを糸でつなぎあわせ、色紙で作った花や豆や雑穀などが装飾に使われました。


ク リスマスの飾りといえば今は、もみの木のクリスマスツリーが一般的ですが、パヨンクは、クリスマスツリーがまだポーランドに入ってくる前の19世紀ころま で農村の各家庭でクリスマスやイースターの祝日の飾りとしてつくられてきました。 まさに、ポーランドのクリスマスデコレーション。行事によって飾り付けも変えられ、イースターの際は花、クリスマスは星やボンブキが飾られました。


この装飾品はポーランド全土の農村で見ることが出来ました。こちらは、ペインティングアートで有名なザリピエ村の古民家の室内。ザリピエのペイントにある花のモチーフのような色とりどりの花が重なりあった豪華なパヨンクです。


 豆や雑穀を糸に通して作ってあるパヨンク。パヨンクはクリスマスに向けてつくる飾りであると同時に、豊作や幸福を祈る飾りでもありました。
昨年ポズナンのStary Browarという大型ギャラリーでポーランド各地のパヨンクを集めた企画展がありました(Stary Browarの記事はコチラから)。以下StaryBrowarで展示されていたパヨンクの写真。(画像元地方地方で、特徴がありとても面白いです。







 この企画展は現代に忘れかけられている民芸品パヨンクの歴史や価値を示すと共に、ポーリッシュデザインとしてのパヨンクを現代のデザインに生かして欲しいという狙いがあったそうです。

確かにポーランド各地のパヨンクのデザインは華やかさ、繊細さ、又ちょっと他にはない奇抜さなどが見て取れます。 クリスマスにパヨンクを作って飾っていたポーランドの農家、現代のクリスマスツリーよりも華やかでで明るい気がします。
現代のクリスマスデコレーションはは完全にクリスマスツリーに取って代わられたパヨンク。残念なことに一般的には飾られておらず、今は民俗博物館や民芸市などで見るのみです。実用性を失ったとしても、その華やかで独特なデザインだけでも受け継がれて行って欲しい、と思います。

ちなみに、クリスマスツリーはクリスマスイブ24日直前に飾るのがポーランドの家庭では一般的。そうしてツリーは1月いっぱい飾り続けます。日本のようにお正月飾りがないので、ずっとそのままでいいんですね。

次回は、ポーランド切り絵で見るクリスマス☆彡


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