ひきつづき、ヤノフ村の織物のお話を。
ヤノフ村には今も5人の織手さんがいます。みなさん、代々家族から受け継いできた織物の伝統を守っておられる、文化の紡ぎ手です。
詳しくは:5人の織手を訪ねて1 5人の織手を訪ねて2
去年の展示では、この全ての織手さんに織物を織っていただきました。よく見ると、どの織手さんがおる織物にも個性があり、誰が織ったものなのかわかるようになってきます。
ヤノフ村には、私も何度か行きましたが、この5人を訪ねてばかりで、てっきり他には機織り工房はないものだとばかり思い込んでいました。現に、ヤノフ村役場が発行するパンフレットにも5人の情報しか載っていないんです。
ところが昨年の6月、ポーランド南部であった民芸市に行った際、ヤノフ村の織物と同じ二重織りの織物を販売していた、ルチナさんという新しい織手さんに出会いました。
話を聞いてみると、ルチナさんはヤノフ村出身ではなく、近くの別の村の出身とのこと。ヤノフの織手さんと同じように、代々織物を受け継いで来られた方でした。
確かに、二重織りの織物は19世紀のはじめまではこの地方の多くの村で織られていました。ヤノフ村以外にも織手さんがいてもおかしくないわけです。ただ、ここでも今織りをしているのは、ルチナさんと、そのいとこのみとのこと。
やはりどこも、伝統の灯火は消えかかっています。
ルチナさんの織物
ルチナさんの織物で特徴的なのは、古いマゾフシャ地方の文様が織り込まれているところです。ヤノフやルチナさんの村があるのは、ポドラシェ地方。一方、その南のマゾフシャ地方にも18世紀中頃まで二重織りの文化がありました。しかし、やがてそれは廃れ、パターンのみがポドラシェ地方の各村々に受け継がれたようです。
マゾフシャ地方の伝統的な幾何学模様のパターン
ヤノフ村では織られていない、マゾフシャ地方の古い模様をルチナさんの織物には見ることができます。同じ地域でも、村が違うというだけで受け継がれているパターンが異なるというのを間近で見ることができました。
この出会いを大切にしたい。今回の織物展では、去年の5人に加え、ルチナさんにも彼女のみが織れるマゾフシャ地方の文様作品をいくつも織ってもらっています。
一枚一枚の織物もこうして見てみると、より貴重で珍しい織物に見えて来ませんか。資料集に載っている19世紀頃のマゾフシャ地方の織物などと照らし合わせながら、ルチナさんの織物を眺めてみると、脈々とつながってきた伝統を感じることができます。
展示中・販売中の織物にはすべて織手さんのネームタグが付いていますので、お店に行かれた方はどうぞ好きな織手さんを探してみてください。
ルチナさんのネームタグがある織物を見つけたら、これがあのマゾフシャ地方の模様なのね。フフフフとマニアックにほくそ笑んでみてくださいね。
ヤノフ村の織物に関する昨年の記事はコチラ
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