9月21日(金)~23日(日)に六本木ヒルズで開催のポーランド祭。ピサンキは選りすぐりのポーランド各地のものを販売します。
なので今年春のピサンキ展の時に紹介できていなかった、ピサンキの話を。
今日は、ポーランド南部のTychy(ティヘ)というところに住む、テレサ・ドラパワさんのレムコ・ピサンキ。 このブログの読者で、<Lemkoレムコ>という名前を聞いたことがある方は、どれくらいいますか。私もポーランドなんかに来なければ、いや、ピサンキや東欧の民芸なんかに関わらなければきっと一生聞いたことのない単語じゃないかと思います。。。
左)スロバキアエリアのレムコ 右)ウクライナ・ポーランドエリアのレムコ
Lemko(wikiリンク)というのは、ポーランド・ウクライナ・スロバキアにまたがるカルパチア山脈に暮らしていた少数民族グループの名前。同じカルパチア山脈でも、フツル民族はウクライナ(東)よりに住まいをもち、レムコはスロバキア(西)よりに分布する民族のようです。今でこそ、国境が確立し、ウクライナやスロバキア、ポーランドという線引がなされていますが、古くはオーストリアやポーランドの領地であったりもした戦争や国境に左右された民族です。
ポーランドで一番有名なレムコは、映画にもなった画家のNikiforニキフォルでしょうか。彼はポーランド南部の山岳保養地クリニツァ・ズドロイというところ出身のレムコの子孫でした。(ちなみに、映画「ニキフォル」は日本でもリリースされていて、とても良い映画なのでオススメ。泣けます)
さて、やっと本題。そのレムコ民族のピサンキですが、Drop and Pullという方法で描かれ、ろうけつ染めで染められています。
スロバキアのレムコピサンキ
ドロップ・アンド・プルというのは、針状になったキストカの先端に蜜ロウをつけ、まさに蜜ロウを置いて(Drop)引っ張り(Pull)ながら模様をつけていく方法です。テレサさんに、実演してもらいました。
テレサさんのお道具箱。針状のものがキストカ
溶けたロウソクを針の先端につけ、タマゴの表面に置いていきながら模様をつけます
エンボス状の色付き蝋を載せる場合は、ロウソクとクレヨンを混ぜながら絵付けをしていました
プルしているところ。緑色のクレヨンを溶かしたロウで葉っぱを描いています
レムコピサンキの模様。それぞれに意味があります。
テレサさんのところにおじゃましたのは、去年のクリスマスの頃。(後ろにクリスマスツリー)4月のイースターに向けてすでに沢山のタマゴを準備していました。
シンプルだけれど、洗練されたパターン
毎年、イースター前後に南部シロンスク県にあるグリヴィツェの美術館で開催されるイースターエッグコンクールに出品しているテレサさん。コンクールの受賞常連者です。各年の表彰状を見せてくれました。
このコンクールは私がいつも付き合っている民芸協会に登録しているような<民芸家>が参加するものではなく、県のアマチュアの人たちが参加しているコンクールなのですが、その技術の高いこと!
Leszek Jęczmyk
Klaudia Swoboda ダチョウのタマゴ
今日紹介したテレサさん、レシェクさん、クラウディアさんのピサンキはすべてポーランド祭で展示・販売していますので、ご覧になりに来てくださいね。日本で貴重なレムコピサンキなぞ売っているのは、きっとココだけ、この3日だけじゃないでしょうか;)
すべて一点物なので、お早めにどうぞ。
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私も最近drop&pull技法を練習しています。これはこれでなかなか奥が深い。(ただ、私の使っている道具と写真の道具がだいぶ違う形なので、気になります…。)
返信削除そうそう、お道具箱。飯野さんが興味を持ってくれるかと思って(笑)、写真載せておきました。それに、エンボスのクレヨン方式もちょっとおもしろかったです。色んな色で遊べそう。ポーランドには北の地方(織物の地方のそば)にもDrop+Pullの伝統的なピサンキがあります。これはまたレムコとは系統が少し違っていて、面白いです。
返信削除今、私のホームページのトップに、drop&pullとエッチングエッグを載せてあります。でもまだまだ研究中〜。
返信削除寝室に掛けたという、白と黒の織物、すばらしいですね!!
Iinoさん
返信削除HPみてきました!シンプルだからこそ、引き立つ美しさがありますね。飯野さんのは色も素敵。
ドロップ+プルは雑だったり、いい加減だったりするとアラが目立ちやすいので、私もいいものを作っている人を探すのに結構苦労しました。テレサさんのは無駄のないシンプル美な感じがします。
織物素晴らしいでしょ。一目惚れ。