2012/07/23

ポーランド民族衣装図鑑 3


6月の終わりの話になりますが、今年も行ってきました。カジミエッシュドルネのフォークフェスティバル!6月最終週の金土日に開かれるこのお祭りは、ポーランド全土、周辺国からフォークソング・ダンスグループが集まって3日間に渡りフォークソング・ダンスコンテストが開かれます。

それと同時に、カジミエッシュドルネの旧市街では民芸市も開かれ、右を見ても左を見ても民族衣装と民芸品に包まれるなんとも贅沢な3日間となります。

私も今回4度目になるカジミエシュドルネフェス。今年も仕入れ、取材込みで行ってまいりました。今までは、クラクフからの旅だったので、比較的近かったのですが、今年はポーランドの北西トルンからポーランドの南東カジミエッシュドルネまで、ポーランドを斜めに電車で横断。片道6時間以上の旅となりました。

我がSLOWART BLOGでは常に人気記事ランクの上位にある<ポーランド民族衣装>特集。昨年の<ポーランド民族衣装図鑑1>に続き、今年もカジミエッシュフェスからお送りします;)




トップの写真はSLOWARTBLOGヘビー読者ならお分かりですね。
もう何度も登場しているウォビッツのフォークダンスグループの皆さん。
パスキ(Paski=しましま)とよばれる虹色のスカートとバラ模様の刺繍がウォビッツの民族衣装の特徴です。
が、上の写真のおばさんは、黒ベストに、黒スカート。刺繍も、色が押さえ気味のサテン刺繍で、ブラウスもレースブラウスではありません。

同じウォビッツの民族衣装でも、お年を召した方や、未亡人などはこういった黒ベースの民族衣装を着たのだとか。

民族衣装は、子どもから大人まで同じ物を切るのだとばかり思っていたので、こういうちょっとした違いの発見もあり面白かったです。




Łukowa (ウコヴァ)というルベルスキ地方の小さな村出身のフォークグループ。ウクライナとの国境が近いここは、他の地域とは全く違う白地のブラウスとロングスカートに、足元まである長い頭巾が大変特徴的。

写真を取らせてもらった時は、舞台終了後で暑かったので頭巾取っちゃってたけど、、下↓の写真はステージ上でのパフォーマンス画像。



因みに、6月にポーランドとウクライナで開催されていたサッカーの欧州選手権でポーランド側の大会公式ソングを歌っていたヤジェンビナのグループもここの村のすぐそばで、同地域の民族衣装を着ていました。↓動画






こちらはラドムの民族衣装。
ウォビッツの民族衣装の縞模様に似ていますが、太さと色合いが違います。また、ベストもパープルでラドムの刺繍である、小さな花模様が施されたブラウスがとてもかわいらしい。

















こちらも何度かこのブログには登場しているクルピエ(緑の森)地方の民族衣装。カジドウォという町のグループ。
あれ、と思って去年の記事を見てみたら同じ女の子たちでした笑
毎年同じ写真とってる。

ここの民族衣装ものっぽの帽子と赤いベストが特徴的で見分けやすいです。
ちなみに帽子を被るのは若い女性だけ。






こちらは、ラドムのそばリキという村のおばさん。2個上のラドムの民族衣装と比べても全く違った趣の衣装です。

フワフワの帽子に、金糸の刺繍。

たった30-40kmほどしか離れていない地域でも、村単位・町単位で独自の伝統文化があることがわかります。










カジミエッシュドルネのお祭りでたくさんの民族衣装を見たければ初日がオススメ。初日はフォークソングコンテストを朝から晩まで開催しており、本当にたくさんの人たちに出会います。

民芸品を買い求めたければ、民芸市は土曜日・日曜日の開催で、日曜日はみなさんお昼くらいを過ぎると早々に帰り支度を始めてしまうので、土曜日がオススメです。




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2012/07/18

ポーランドの小麦粉と日本のパン


今日も昨日に引き続きパンと小麦粉の話

昨日はポーランド人がいかにポーランドのパンを愛しているかという話だったのですが、今日はポーランドで日本のパンを作るにはどうしたらいいのかという、私にとってより切羽詰まった実用的かつ個人的な問題の話です。。


昨日も少しふれましたが、パンを作るには小麦粉から。


●日本の小麦粉の分類はタンパク質の割合とグルテンの性質によって(薄力粉、中力粉、強力粉)と分かれています。

●一方ポーランドの小麦粉は小麦粉の挽き具合、要するに小麦の外皮がどれだけ含まれているか、ということでタイプごとに450-2000まで分かれています



スーパーなどでよくみかける小麦粉。右下にtyp550とあるのがタイプのこと。その下はPszenna(小麦)と書いてあります。

ポーランドの小麦粉は外皮が含まれている率で分けられていると書きましたが、これを灰分率というそうです。タイプごとの灰分率と、日本の小麦粉どうようそこに含まれるグルテン率(タンパク質)を表にしてみました。





なんぞや、って感じですよね。注目は、どちらの国の小麦粉もグルテン率は上がっていきますが、ポーランドの粉は灰分率も一緒にあがり、日本粉は灰分率が一定であるということ。

それぞれの成分の働きについて

グルテン(タンパク質)・・・タンパク質多ければ多いほど水を加えて練った時に粘り気が出、グルテンが形成される。グルテンはパンの粘り気(モチモチ感)と、弾力(フワフワ感)を演出する存在。グルテンが形成されるとパンの膨らみも増す

灰分・・・小麦の外皮の混合率。灰分が多ければ多いほどミネラル分がまし香り、栄養価が高くなる(お米でいうと玄米)。小麦の中心部を使った灰分の低い小麦粉ほど良質なグルテンが含まれている。(日本では、このことから灰分の低い小麦粉ほど良質・一等とみなされている)灰分率が高い全粒粉に近づくほどパンは水を多く含み重くどっしりとした食感になる。


どういった性質のパンを作りたいかで、このグルテン率と灰分率の割合が大変重要になってくるようです。パンの種類別でみてみましょう。


ポーランドの小麦粉タイプ1050番とライ麦粉(ライ麦粉は小麦粉のようにグルテンを形成しない)をまぜた、香り・栄養価ともに高いどっしりパン
(灰分大・グルテン少)


外の皮の香ばしさとなかのモチモチがおいしいフランスパン
配分0.5%・グルテン率10.7%くらい→550番が相当かな)


日本の最強力粉で作るふわっふわ・もちもちの食パン
灰分最小・グルテン最大

ポーランドの550番(中力粉レベル)や650番(準強力粉レベル)で日本風のパンを焼くことはもちろん出来ます。ただ、膨らみとフワフワ感がまだどうも足りないのです。グルテンが少し足りないし、灰分が邪魔をしているよう。


さてここで問題:「ポーランドの小麦粉を利用して、日本の小麦粉風のアレンジをきかせた食パンを作るにはどうしたらいいか」



答え:「浮き粉を使う」


浮き粉は小麦粉のグルテン成分を集めた最強グルテン粉。ポーランド語ではgluten pszenny(小麦グルテン)といいます。

要するに灰分率低めの(550番くらい=日本の2等級相当)ポーランドの小麦粉をベースに、グルテン粉でグルテン率を13%近くまで一気にあげてやればいいのだということ。


グルテン粉は一般的にはスーパーであまり見かけませんが、ビオショップやネットショップで売っています。マクロビでもよく使うセイタン粉という扱いだったりもします。

私の見つけたサイトはコチラ:http://hurtowniaprzypraw.net.pl/gluten-pszenny-1-kg-p-1363.html

結論:
「もちろん、作るパンの種類や性質にもよりますがまずは小麦粉の分量に合わせて3%の割合でグルテン粉を混ぜてみるといいようです。パンはより膨らみ、フワフワ感がましますよ。食パンほど膨らまなくてもよい菓子パンなどの場合は450番にグルテンを混ぜるのがいいかもしれません。」




今回は、色々と調べてこういった結論に行き着き、なんとかポーランドで日本のパンが焼けそうです。が、やっぱり地産地消。無理をせず、土地のものはその土地の食べ方をするのが一番合っているということです。ポーランドのチーズもハムもやっぱりポーランドの香り高いどっしりパンが一番合っていて美味しいです。
ウォッカを飲みながら、ライ麦の黒パンとピクルスを食べるのもまた良し。
ポーランドへお越しの際は、ぜひポーランドパン食べてくださいね。

まぁ、どうしても私のように時々海外生活で食べ物欲求不満になっちゃう人は、今回の件、お試しください。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。
尚、今回の記事、素人考察ですので間違いなどありましたらご指摘お願いします。





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2012/07/17

パンとポーランド人


 ポーランドのパン@普通の市場


 ポーランドのパン@クリスマスマーケット


ポーランドのパン@イースターマーケット


ポーランドのパン@食卓

お久しぶりです(汗)。約一ヶ月近くも放置していたSLOWARTブログです。。

開始そうそう、パン・パン・パン。ポーランドのパンがどんなものなのかなんとなくおわかりいただけましたか?どっしり重い胚芽パン。こちらでは、薄く切って、チーズやハム、ピクルスやトマト、タマゴなんかと一緒に朝食や夕食(ポーランドは15時くらいの昼食が一日のメインの食事です)に食べます。日本人の心がお米なように、ポーランド人はこのパンを愛してやみません。

空港の荷物検査の際、ポーランド人の開けられたスーツケースの中から大きな一塊のポーランドパンが出てくるのを私は何度か目にしました。日本人が、インスタントのラーメンやお米パック、お味噌汁を海外旅行に持っていくのと同じかな・・・

ウクライナの歓迎の様子 wikipediaより

ユーロカップの際にスペインチームもパンと塩で歓迎 gazeta.plより

ポーランドを含むヨーロッパのスラブ圏では、「パンと塩」で客人をもてなすという16世紀くらいから続く伝統が今もあります。また、キリスト教ではパンはイエスの体を表していますね。カトリック色の強いポーランドではパンを切る際に、十字を切る人だっています。

パンは、知恵や豊かさ、温かいもてなしの象徴として
塩は、日本と同様で魔除けとして

ポーランドでは、今でも結婚式の際にパンと塩が新郎新婦に振舞われ、結婚後の幸福と豊かな生活が願われます。

ポーランドのパンに関することわざを少し

chleb i woda, nie ma głoda
パンと水があれば飢えることはない

dobry chleb, gdy kołacza nie masz
ケーキがなくてもおいしいパンがあればいい(意:今あるもので満足するべき)マリ・アントワネットの逆(笑)

kto chce nieba, cierpieć trzeba, a kto chce chleba, pracować trzeba
天国に行きたければ精進すべし、パンを食べたければ働くべし

trzeba chleba i nieba
天国とパンは必要だ (意:人の必要なもの精神的な安らぎと物質的な満足)



ポーランドのパンってなんというか、ポーランド人にとって必要不可欠なものであり、心の安らぎであり、社会の土台になるものなんですよ。
美味しいんですよ。ご飯と一緒で、毎日食べても飽きない味なんですよ。



--------でも、日本人の私はポーランドに住んでいると、時々日本の真っ白なフワッフワ・もちもちのパンが食べたくなりますorz  しかしながら、パン屋さんでは売ってません。自分で作るしか無いです。最近日本のパンが食べたい禁断症状についに耐えられなくなり、ホームベーカリーを買いました。これで、私も好きな時に、食べたいパンが食べられるはず。。

と思いきや、外国生活は一筋縄には行きません。

「ポーランドには(日本のような)強力粉が存在しない!!」

ポーランドのパンと日本のパンの違いはやはり「軽さ」と白さでしょう。

そこで、ポーランドと日本でパンを作る際の小麦粉の決定的な違いがあることに気づきました。


http://artkulinaria.pl より

●日本の小麦粉の分類はタンパク質の割合とグルテンの性質によって(薄力粉、中力粉、強力粉)と分かれています。
●一方ポーランドの小麦粉は小麦粉の挽き具合、要するに小麦の外皮がどれだけ含まれているか、ということでタイプごとに(450-2000まで分かれています)

分類方法がそもそもぜんぜん違うんです。

日本のパンのフワフワ・もちもちは、強力粉の強いグルテンによるものです。だから分類もグルテン含有量が大切なのがわかります。逆に、栄養価も高いポーランドのパンの硬いどっしり感はあらい小麦の外皮やミネラル成分から来ているわけです。小麦粉分類の上で精製方法が重要になってくるのにも理解ができます。


ポーランドで大抵パン専用として売られている粉は、精製があらいグラノーラ状の小麦粉やライ麦粉です。これで、日本のパンを作ろうとしても全く別物になってしまうのです。



このままでは、ホームベーカリーはあれど、フワッフワのホテルブレッドなど作れない。。
そこで、どうすればいいか、、次の記事でより詳しく考察してみます。(ポーランドで日本のパンなど作る必要のない読者の大多数・・には面白く無いかも・・まぁそう言わず、お付き合いください)







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