2012/01/19

織りたてホヤホヤ入荷

ルドガルダさんの両面織り地のクッション 裏は茶色い小鳥柄です

開催期間が、終盤にくるにつれどんどん品薄になってしまっていたチェドックさんで開催中の<ヤノフ村の織物展>ですが、本日織りたてホヤホヤの織物が速達便でポーランドから届きました!日本でのご好評をうけて急遽村の織手さんたちが寝る間も惜しんで織ってくれた織物があらたに40点並んでいます。大人気でなくなってしまっていた、クッションをはじめお手頃な小さめのタペストリーも届きました。

 こちらは素敵過ぎるアリチアさんのシカタペストリー。色違いで何点かあります

 フィロメナさんの小さめの伝統柄タペストリー

 ダヌータさんの特大タペストリー。写真ではわかりづらいのですが、深紫と黄色を縦糸に使ったとても美しい色合いのタペストリーです。実物をぜひごらんにいらしてくださいね。

 品切れだった、このサイズのシカ・トリ柄タペストリーもたくさん入荷してますよー

どれもこの企画展のために追加で織っていただいたものばかりです。東京での開催は1月22日(日)までとなりましたが、はじめての方も、既にいらっしゃった方もぜひご覧になりにいらしてください。また、東京のあとは、2月1日から京都恵文社さんでも開催します。

いやはや、この短期間でここまで素晴らしい作品を仕上げてくださったヤノフの織手さんたちの底力を感じました。

ポーランド・小さな村からぬくもりを紡ぐ手仕事
<ヤノフ村の織物展>

現在開催中! 
■チェドックザッカストア 
2012.1.6(金)-1.22(日)

東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビル404
 Tel03-6240-9500
営業時間12:00-19:00
 定休日期間中無休
京都恵文社一乗寺店
2011.2.1(木)-2.14(火)
京都市左京区一乗寺払殿町10
Tel: 075-711-5919 
営業時間:10:00~22:00 
定休日:無休
札幌・東京・京都巡回!
 
Presse 終了
2011.12.2(金)-12.15(木)
札幌市中央区南6条西23丁目5-3
Tel: 011-299-7550 

営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
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2012/01/18

ヤノフの織物展 ~5人の織手を訪ねて 2~

本日は~5人の織り手を訪ねて~の続き(前回の話はコチラから)

 Filomena Krupowicz(フィロメナ・クルポヴィッチ)さん

フィ ロメナさんが、織物を始めたのは結婚して夫の家に嫁いできてからのこと。フィロメナさんの義母のScholastyka Krupowicz(スホラスティカ クルポヴィッチ)から織りを教わったそうです。スホラスティカさんはポーランドの民芸品評会で最優秀賞を受賞するな どとても有名な織り手でした。フィロメナさんは言います。

「こ この家に嫁いできた時、義母が私に織物を教えてくれました。最初はとてもむずかしくて複雑で何をどうしていいやら、すぐに投げ出したくなったの。そうした ら、義母は「「まずは、機のまえにすわって想像してご覧なさい。ここには木やトリ、村の人たちの笑顔が自然に出てくるから」」といいました。そうして二人 で最初のタペストリーを織り上げました。」


ヤノフの織物には図案がありません。代々技術やモチーフは人の手から手に伝えられてきました。フィロメナさんの織る村の生活を描いた織物は楽しく、やさしい表情の人々がとてもスホラスティカさんのものに似ています。

 Danuta Radulska(ダヌータ・ラドォルスカ)さん

ダヌータさんもヤノフの織物を始めたのは、結婚後ヤノフに嫁いできてからでした。ダヌータさんのお母さんも糸紡ぎや織物をしており、小さい頃から織物には親しんできましたが、違うタイプの織物であったため、 ヤノフの2重織りの技術は、嫁ぎ先の村のテレサさんから教わったそうです。はじめて織ったのは80cmx2mの特大タペストリー。森や人、動物や伝統的な幾何学模様などすべての要素を教わりながら織り込みました。
ダ ヌータさんの織物をしている様子の動画があるので、ご覧下さい。大きな機をバッタンバッタンと前後して横糸を引き締める作業の迫力のあること。大変な作業 です。2重織りの特徴である上下に張られた縦糸を交互にすくいとっていき、模様を描き出していく様子などもよくわかります。

動画の中でダヌータさんがおっしゃっていますが、まずは頭の中でデザインをしっかりと組み立てること。そうして一気に織り上げるそうです。




ダ ヌータさんが企画展用に織ってくれた織物。カバンも今回は作って頂きました。色や模様がとても素敵です。ちなみにカバンについている木のボタンはダヌータ さんの旦那様がつくってくれたんですよ。どこまでも手作りな温かいカバンです。また、3枚目の大きな織物は1800年代の織物の柄をお願いして復刻しても らったものです。貴重な柄の織物です。

 Alicja Kochanowska(アリチヤ・コハノフスカ)さん

ア リチアさんは昨年ビドゴシチで行われた<ポーランド織物コンクール>で最優秀賞を受賞しました。このコンクールは、伝統的な織物だけではなく現代の織物も 含めた大きなコンクールでしたが、伝統的な織物を受け継ぐヤノフの織物の織り手が最優秀賞を受賞したにはとても意味があると思います。

ア リチアさんはヤノフでも有名な織り手Genowefa Zaleskoさんについて織物を習いました。Cepeliaやポーランド各地で展覧会を開催してきました。アリチアさんは手仕事の大変さや尊さをつたえ るため、ポーランド各地で開催される展覧会や民芸市に工房にある小さな機を解体して持って行きます。私が去年訪れたルブリンの民芸市でもアリチアさんが ワークショップを開いており、2日間の織物教室はすぐに満席になっていました。こうして、ポーランド国内に少しでもヤノフの織物に興味をもつ人が増え、後 継者が育つといいのですが。伝統の継承も、今の織手達の重要な課題なのです。

 とても人気があった、アリチアさんの鹿柄のタペストリー

今回注文を出すときに思ったことは、細かくモチーフや色柄の配置などを注文するより、織りてさんに大まかな希望を伝えてあとは任せるのが一番いいものが出来上がってくるということ。

彼 女たちは300年以上にわたって続いてきた織物を継承している織り手達です。その技術やモチーフ、色使いなどは長い時を経て洗練され一人ひとりの織り手 の手に託されてきました。伝統工芸品の重要な点はまさにそこにあります。現代の織手たちは、個人の芸術家として仕事のほかにも、昔のひとたちが試行錯誤して 磨き上げてきたものを伝承するという重要な仕事を任されています。何百年にもわたり伝えられてきたものには、意味があり思いがあります。その意味や思 いを無視せず、尊重することでより良いものが出来上がるのだと再認識しました。

安さや手軽さに惑わされて伝統文化を軽視しないこと。それがモノであふれる現代の私達にとって大切なことです。ヤノフの織物が次の世代にもどうか繋がりますように。

今週月曜日(2/16)にヤノフから発送してもらった織物は現在速達便で日本に向かっています。早ければ木曜日、金曜日くらいにはお店にならべられたらと思っています。(追加商品については到着時点で本ブログにもアップします)

ポーランド・小さな村からぬくもりを紡ぐ手仕事
<ヤノフ村の織物展>

現在開催中! 
■チェドックザッカストア 
2012.1.6(金)-1.22(日)

東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビル404
 Tel03-6240-9500
営業時間12:00-19:00
 定休日期間中無休
京都恵文社一乗寺店
2011.2.1(木)-2.14(火)
京都市左京区一乗寺払殿町10
Tel: 075-711-5919 
営業時間:10:00~22:00 
定休日:無休
札幌・東京・京都巡回!
 
Presse 終了
2011.12.2(金)-12.15(木)
札幌市中央区南6条西23丁目5-3
Tel: 011-299-7550 

営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
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2012/01/13

ヤノフ村の織物展 ~5人の織手を訪ねて1~


現在東京チェドックさんで開催中のヤノフ村の織物展。開始から一週間が経ちましたが、とてもご好評を頂いており、毎日たくさんの織物がお嫁にいっています。

(1月13日現在では)コースターや小さなタペストリー、クッション、大きめのタペストリーなどまだ比較的数やモチーフなどございますので、気になるという方はお早めにどうぞ。又現在ヤノフ村の織り手さん総動員で(といっても、5人なのですが)最後の週末(21日・22日)に間に合うように追加の織物も織っていただいていますので、織手さんとポーランド郵便局のがんばりでどうか間に合うようにお祈りください。(追加の有無・詳細についてはまた後日お知らせします)

本日は、ヤノフ村に残る5人の織り手の話 1


ポー ランド織物の村、ヤノフには現在5人の織手さんがいらっしゃいます。逆に言うと現在はもう5人の織り手しか残っていません。残念ながら若者は近くの町に働きに出 てしまったり、労働時間に対して採算が合わない織物の継承にはなかなか振り向かないのが現実のようです。代々母から娘へと伝えられてきた伝統の灯火が消え ようとしています。

そんな貴重な織物を現代に受け継ぐ5人の織り手さん

Teresa Pryzmont(テレサ・プリズモント)さん

テレサさんの工房

テ レサさんは、ヤノフ村一番のベテランの織り手さんです。機織りは10代のころにお母様から教わったそうです。テレサさんの家の敷地内にある工房には大中小 3機の機があり、10cm角の小さなコースターから、2m以上の大きなタペストリーやベッドカバーまでテレサさんに織れないものはありません。伝統的な星 や植物がモチーフの幾何学模様から、現代的なテレサさんオリジナルの猫や怪獣柄なんかもユニークで面白いですよ。テレサさんの工房では、地元の小学生をむ かえてワークショップなども行なっています。

テレサさんの作品 冬の森

 生命の木


 Ludgarda Sieńko(ルドガルダ・シエンコ)さん

 
ル ドガルダさんもこの道40年のベテランの織り手さんです。ルドガルダさんの織物はアースカラーの織物が多く、とにかく動物が素敵です。現在チェドックさん で開催中の展示でも一番目立つ大きな織物(正面壁にかけてある130cmx80cmの織物)を織ってくれたのがルドガルダさんです。


ヨーロッパバイソンやヘラジカが描かれているこの織物はヤノフ村からほど近いビアウォビエジェの森(森のバイソンの話はコチラか ら)の動物たちを描いたタペストリー。ヨーロッパ最後の原生林とよばれるビアウォビエジェの森には野生のヘラジカやヨーロッパバイソンが暮らしています。 木にトリが歌い、花や果実をつけた森の木々が美しい、素朴で幸せな雰囲気のタペストリーです。近くで見ると動物たちがとても可愛く、遠くからみるとジオメ トリックで斬新なデザインにも見える素晴らしい織物です。この織物は最終日まで展示・予約販売をしています。予約が入ると、ルドガルダのもとに注文をだし ます。自分のための一枚を織ってもらうのもなかなか素敵なことです。

 その他、コチラもルドガルダさんの作品。どれもとても素敵です。

残る3人の織手さんの紹介は次回に続きます

ポーランド・小さな村からぬくもりを紡ぐ手仕事
<ヤノフ村の織物展>

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2012/01/12

フツル民族の手仕事展が名古屋ではじまりました

フツル民族の手仕事展が本日から名古屋のロビンスパッチさんで始まりました! 私も搬入でお伺いしたのですが、すでにしっかり準備が整っており搬入に行ったのだかロビンスパッチさんとおしゃべりにいったのだかわからない感じでしたが、名古屋で楽しい時間を過ごしてきました。

 東京展では人気があり品薄になっていた織物リズニックや、オレグさんのピサンキ、フツル民族のガラス絵なども新たにたくさん入荷していますのでご覧にいらして下さい。

 一針一針昔の方が縫ったウクライナ刺繍のヴィンテージブラウスも素敵なものがたくさんありますので、一点一点お手にとって御覧ください。

ウクライナ・フツル民族の手仕事展に出品している工芸品について、フツルって何?どんな人が作っているの?という方は、下の記事一覧も合わせてご覧下さいね。
SLOWART BLOG:フツル記事一覧 

ロビンスパッチさんでの展示は本日1月12日(木)から1月31日(日)までです。皆様のお越しをお待ちしております!

*次回巡回予定の徳島レテンカさんのご住所が変わりました。新しいお店は旧店舗から徒歩一分のところだそうですが、DM上の記載から変更になっていますので下記新住所をご参照ください。


Robin's Patch  (ただいま開催中!)
 2012 1.12Thu-1.31Tue
愛知県名古屋市千種区
稲舟通1-15-3
TEL 052(734)3185
OPEN 12:00-19:00
CLOSE 水曜日

Letenka
 2012 2.11Sat-2.29Wed
徳島県徳島市末広4-8-32 
徳島県徳島市末広4丁目8ー43  F
TEL 088(612)8800
OPEN 12:00-19:00(土日祝-18:30)
CLOSE 金曜日


■チェドックザッカストア 終了
 2011 10.27Thu-11.13Sun
東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビル404
TEL 03(6240)9500
OPEN 12:00-19:00
CLOSE 期間中無休

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2012/01/07

ヤノフ村の織物展 ~伝統の生き残りをかけて~


 前 回の記事では、ポーランドの二重織りの織物の歴史を取り上げました。スカンジナビアから18世紀に入ってきた二重織りの技術はマゾフシャ地方やポドラシェ 地方に広がりますが、19世紀の終わり頃の機械織りの発展などにより多くの手織り工房が閉鎖します。また、残る手織り工房でも伝統的なモチーフや柄ではな く、当時都市部で流行っていた機械織りの柄などを似せた織物なども織られるようになりました。

 ヤノフの織り手の一人ダヌータ・ラドゥルスカさんのお母さんが所有していた1900年代前半の織物。バラ模様の派手な色合いの織物は当時の流行りだった。

何百年も受け継がれてきた伝統的な織りやパターンが失われようとしていたことに危機感を抱いたワルシャワ芸術大学のEleonora Plutyńska(エレオノラ・プルティンスカ)教授は、1930年代にヤ ノフ村に入り伝統的な模様の復古や草木染めの大切さを村の織り手である女性たちに伝えます。また、自らも芸術家であったプルティンスカ教授は村の女性達と 共に伝統的なモチーフやパターンを生かした新たな模様作りにも取り組みます。この新たな取組みは、売れる織物を作るためヤノフの織物の生き残りをかけた取 り組みでもありました。

 1883年の作品。昔よく織られていた伝統的なパターンの繰り返しのタペストリー

 Alicja Kochanowska 2011企画展にも出品中の作品

伝統的なパターンだけではなく、 織手たちが自由な発想で森の動物や村の生活の様子などを織り込むようになったのはこの頃からです。上の写真の作品には、伝統的な木や花のモチーフとともに織り手のアリチアさんオリジナルのかわいらしいシカが織り込まれています。

 
ヤ ノフの織物の中ではよくみる<Zbierza(動物)>というモチーフは30年代にプルティンスカ教授が作ったモチーフです。2010年に行われたヤノフ の織物コンクールはこの動物=恐竜?が出品テーマになっていました。不思議なモチーフですが今は、どの織り手もおる定番モチーフになっています。

村の人々やその生活の様子を描いた織物

一人ひとりの織り手が自由な発想で織物に取り組むことができるようになったため、各織物にはイキイキとした個性が生まれました。伝統的なパターンと一緒に織り込まれる、村の生活の様子や愛嬌たっぷりの森の動物達などはヤノフの織物の特徴となりました。

他の地方の織物がすでになくなってしまったのに対し、ヤノフの織物が今も生きているのはこの為かもしれません。


次回はそのヤノフ村に残る5人の織手さん紹介をします。



チェ ドックさんで開催中のヤノフ村の織物展もとても好評です。違う柄、違う色味の織物ばかりなのでみなさんとても時間をかけて一枚一枚じっくりとご覧になっているのが 印象的です。また、数点選ばれた作品がすべて同じ織手さんの作品であることがとても多いのでみなさんじっくり御覧になるうちに、好きな雰囲気や織手さんの 個性を見つけているようでした。

私は、8日・14日・15日・21日・22日は現在のところ在廊予定です。週末たくさんの方のお越しをお待ちしております;))

 ポーランド・小さな村からぬくもりを紡ぐ手仕事
<ヤノフ村の織物展>


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