前 回の記事では、ポーランドの二重織りの織物の歴史を取り上げました。スカンジナビアから18世紀に入ってきた二重織りの技術はマゾフシャ地方やポドラシェ
地方に広がりますが、19世紀の終わり頃の機械織りの発展などにより多くの手織り工房が閉鎖します。また、残る手織り工房でも伝統的なモチーフや柄ではな
く、当時都市部で流行っていた機械織りの柄などを似せた織物なども織られるようになりました。
ヤノフの織り手の一人ダヌータ・ラドゥルスカさんのお母さんが所有していた1900年代前半の織物。バラ模様の派手な色合いの織物は当時の流行りだった。
何百年も受け継がれてきた伝統的な織りやパターンが失われようとしていたことに危機感を抱いたワルシャワ芸術大学のEleonora Plutyńska(エレオノラ・プルティンスカ)教授は、1930年代にヤ
ノフ村に入り伝統的な模様の復古や草木染めの大切さを村の織り手である女性たちに伝えます。また、自らも芸術家であったプルティンスカ教授は村の女性達と
共に伝統的なモチーフやパターンを生かした新たな模様作りにも取り組みます。この新たな取組みは、売れる織物を作るためヤノフの織物の生き残りをかけた取
り組みでもありました。
1883年の作品。昔よく織られていた伝統的なパターンの繰り返しのタペストリー
Alicja Kochanowska 2011企画展にも出品中の作品
伝統的なパターンだけではなく、 織手たちが自由な発想で森の動物や村の生活の様子などを織り込むようになったのはこの頃からです。上の写真の作品には、伝統的な木や花のモチーフとともに織り手のアリチアさんオリジナルのかわいらしいシカが織り込まれています。
ヤ
ノフの織物の中ではよくみる<Zbierza(動物)>というモチーフは30年代にプルティンスカ教授が作ったモチーフです。2010年に行われたヤノフ
の織物コンクールはこの動物=恐竜?が出品テーマになっていました。不思議なモチーフですが今は、どの織り手もおる定番モチーフになっています。
村の人々やその生活の様子を描いた織物
一人ひとりの織り手が自由な発想で織物に取り組むことができるようになったため、各織物にはイキイキとした個性が生まれました。伝統的なパターンと一緒に織り込まれる、村の生活の様子や愛嬌たっぷりの森の動物達などはヤノフの織物の特徴となりました。
他の地方の織物がすでになくなってしまったのに対し、ヤノフの織物が今も生きているのはこの為かもしれません。
次回はそのヤノフ村に残る5人の織手さん紹介をします。
チェ
ドックさんで開催中のヤノフ村の織物展もとても好評です。違う柄、違う色味の織物ばかりなのでみなさんとても時間をかけて一枚一枚じっくりとご覧になっているのが
印象的です。また、数点選ばれた作品がすべて同じ織手さんの作品であることがとても多いのでみなさんじっくり御覧になるうちに、好きな雰囲気や織手さんの
個性を見つけているようでした。
私は、8日・14日・15日・21日・22日は現在のところ在廊予定です。週末たくさんの方のお越しをお待ちしております;))
<ヤノフ村の織物展>
現在開催中!
■チェドックザッカストア
2012.1.6(金)-1.22(日)
東京都千代田区東神田1-2-11
アガタ竹澤ビル404
Tel03-6240-9500
営業時間12:00-19:00
定休日期間中無休
2011.2.1(木)-2.14(火)
京都市左京区一乗寺払殿町10
Tel: 075-711-5919
京都市左京区一乗寺払殿町10
Tel: 075-711-5919
営業時間:10:00~22:00
定休日:無休
札幌・東京・京都巡回!
■ Presse 終了
2011.12.2(金)-12.15(木)
2011.12.2(金)-12.15(木)
札幌市中央区南6条西23丁目5-3
Tel: 011-299-7550
Tel: 011-299-7550
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ヤノフ村の織物、とっても素敵ですね。
返信削除以前、クラクフに行くと言ったら
あるお店にカワイイタペストリーがあったから
それを買ってきて!と頼まれたのですが、
いざそのお店行ってみたら 友達が言っていたような
柄のものはなったので、店員さんに聞いたら
売り切れたようでした。
今思うと もしかして ヤノフ村の織物だったのかなぁっと。
私も SLOW ARTさんのブログで
こんな伝統的な織物があったのかと 初めて知り、
そして拝見しました。
ポーランドの伝統工芸・民芸品は 本当に奥が深いなぁ。
SLOW ARTさんが14・15日チョドックザッカストアさんにいらっしゃるとのこと!
私も13日から東京の方に行くことになりましたので、
14もしくは15日に 是非織物をこの目で見てみたいと思っています。
そして お会いできたら 嬉しいです!
Y様
返信削除クラクフの民芸品やさんにはよくザコパネの織物が置いてあるのですが、そのことかな?ヤノフの織物はクラクフは元より、ワルシャワのツェッペリアでも置いていないほど貴重な織物です。その為、ポーランド人でも知っている人が少ないんですよ。残念ですね・・
ちなみにザコパネの織物もチェドックさんに置いてあったので、見比べてみてください;))
ちょうど期間中に東京にいらっしゃるとのこと!ぜひお会いしたいです。14日は終日、15日も開店から15時くらいまでお店にいますのでお会いしたいです。切り絵の事などもお話できればとおもいます。
いつも興味深くこちらのブログを見させて頂いております!というのも、旦那さんがポーランド人なのでポーランドの事をもっと知りたいなーと思いまして。それ抜きにしてもSlow Artさんのブログで垣間みるポーランド手工芸の色彩やパターンに魅了されてます!
返信削除丁度チェドックさんでの展示期間の終わり頃に日本に帰るので、出来たら伺いたいなーと思ってます:)
shibacoさん
返信削除嬉しいコメントありがとうございます!
ポーランドには素晴らしい手工芸品がたくさんありますが、ポーランド国内でさえ知られていないものも多く、そしてそれがヤノフの織物のように衰退しているものであるというのはとても残念なことだと思います。こうして日本の方にご興味を持っていただけることは、外からポーランド民芸を元気づけることにもなると思います。
期間中に日本にご帰国されるとのこと。私も週末はなるべくお店にいるようにしますので、もしおりましたらぜひお声をおかけください!