Natalia Rak ビアウェストク
共産主義と聞いて薄暗ーいイメージを持つのもきっと、食べ物や日用雑貨の配給券を握りしめて、この灰色の建物の前に並ぶ行列を思い浮かべるからかもしれません。
とにかく、ポーランドの町並みを支配するこの灰色の建物群は、過去の負の遺産でしょう。
Etam Cru ウッジ
その<ブロック>の窓が小さく、壁面だけが大きく、色味がなく、四角四面のデザイン性0という要素を逆手にとり、近年ポーランド中で、ストリート・アート、壁面アートのプロジェクトやフェスティバルが多く開催されています。
それも、歴史的に工業都市として発展したが、灰色の陰鬱な町とされてきた、ウッジやカトヴィツェ、ビアウェストクなどの多くの地方都市で開催されるようになりました。
町を現代アートで飾ることによるイメージアップや、まちおこし、ポーランドの若手アーティストへの支援が目的にあります。
OTECKI ウッジ
工業都市として栄えてきたウッジは、現在は映画、デザイン、現代アートなどポーランドでも最先端の現代文化都市となってきています。
Etam Cru ウッジ
M-City ウッジ
Etam Cru ウッジ
INTI ウッジ
KRIK ウッジ
炭鉱の街を多く抱える南部シレジア県の県都カトヴィツェでも昨年ストリート・アートフェスティバルが開かれました。ポーランド中はもとより、世界中からグラフィティアーティストが集まり、多くのミューラルアートが生み出されました。このフェスティバルでは壁面アートの他にも、野外ライブや子どもたちのためのワークショップも催されました。
Peter Fuss カトヴィツェ
SŁAWEK ZBK CZAJKOWSKI カトヴィツェ
spYカトヴィツェ
SŁAWEK ZBK CZAJKOWSKI カトヴィツェ
最後に、紹介するのはポーランド東北部にあるポドラシェ県の県都ビアウェストクのWOAK(県立文化会館)主催の<Folk on the Street>というプロジェクト。フォークロアをテーマにしたストリートアートが多く誕生しました。記事冒頭のナタリア・ラクによる巨大壁画もその一つ。ポドラシェ地方の民族衣装を着た女の子です。このプロジェクトでは壁画だけではなく、路上でのストリートパフォーマンスや、インスタレーションなども行われています。
壁画には、ポーランドのレース編みを模した作品や、糸車を回す女性を描いたものなどもあります。
灰色の街をアートで再生するプロジェクト、ポーランド中に広がっています。ポーランドだからできるプロジェクト、とも言えるかもしれません。新たなポーランドの街並みを生み出し、若手アーティストが育つ風土も生み出すこのプロジェクト、今後も期待です。
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