山梨・切り絵の森美術館での<ポーランドの切り絵展>は引き続き好評開催中です。GW中は、切り絵の森美術館があるクラフトパークがたくさんの人で溢れていたとのこと。広大な緑の敷地では、切り絵美術館のほか、山梨の地元工芸品が楽しめる工芸館やカヌー場などもあり、ご家族で一日楽しめる公園です。
今回の<ポーランドの切り絵展>では、SLOW ARTで今まで開催してきた企画展でお馴染みのウォビッツの切り絵の他にも、ポーランドの様々な地方の切り絵をご紹介しています。 ポスターの中央背景と左側にあるのが、ウォビッツの切り絵、中央はオポチノ地方、右側がクルピエ地方の切り絵になります。
クルピエやオポチノの切り絵は色使いや細かさ、華やかさではウォビッツの切り絵に劣りますが、その地方オリジナルのデザインや地域性が現れた切り絵が特徴です。
<-Polska Wycinanka Ludowa- Aleksander Brachowski 1986>より
クルピエ地方は、ワルシャワを県都とするマゾフシェ県の東北に位置します。ここは大きな森林地帯で、puszcza zielona(緑の森)とpuszcza biala(白い森)地帯に分けられ、それぞれの土地に16世紀~17世紀頃人々が定住しました。
森林地帯であったため、昔からこの地方の人々は養蜂や狩猟、林業、採掘、琥珀などの産業に従事してきました。小さな家族や村単位の生活を守り、これとともに伝統的な芸術も多く生まれました。
琥珀:木の樹脂からつくられる宝石。ポーランド土産の定番。日本と比べると驚くほど安いです
パルマ:聖枝祭の日のパルマ Łysyというところの聖枝祭がとても有名です。聖枝祭についてはコチラ。この紙で作る花はパルマを飾ると共に、部屋の飾りとしてもよく使われました。
クルピエ地方(緑の森puszcza zielona)の民族衣装:この衣装の特徴は女性がかぶる円柱上の黒い帽子と、レース編みのエプロン
こちらは、今でも6月に行われるwesele kurpiowskie (クルピエの結婚式)の様子。村の夏祭りの一巻として実際に結婚するカップルが民族衣装に身を包み伝統的な結婚式を行います。観光客も参加でき、私も去年の夏に見に行きました。
今は織っている人がほとんどいませんが、織物の伝統もあります。毛織物で、幾何学模様のくり返しが多い織物です。
そして切り絵
<Firanki レースカーテン>とよばれる白い紙の切り絵は最も古い切り絵の原型。昔の農家では、このように白い紙をレース状に切り取り窓に吊るし、カーテンの代わりにしていました。
1900頃に作られたレルーヤ。様々なデザインが存在する
<Leluja レルーヤ>とよばれるタイプのこの切り絵は生命の木を表しています。ピサンキでもおなじみですが、鳥やニワトリは生命誕生のシンボル。またレルーヤという名前は賛美歌のハレルヤからきており、キリスト教復活祭の飾りとしても作られたそうです。
<Gwiozdy 星> とよばれる単色の切り絵は、色紙を折り重ね、作家が即興で切っていきます。星とよばれているところから、クリスマスの飾りとして作られることが多かったそうです。
この地域は、深い森に阻まれ何世紀にもわたりあまり外の社会との交流がなかった為に、このような独特の文化が生まれて、守られてきたのだと、民俗博物館の方が教えて下さいました。
今回の切り絵展の為に、私も何度かクルピエ地方へ行き、古民家や民芸家の方々を訪ねました。クルピエ地方は大きな森林地帯ですが、人が住んでいるのはこじんまりとした本当に小さな地域です。この小さな地域で様々な奥深い文化が生まれ、今日のポーランドで広く知られる、今も生きるポーランド伝統文化の源となっているのは驚きます。
この伝統がこの先も永く続いていって欲しいと願うばかりです。
今回の切り絵展の為に、私も何度かクルピエ地方へ行き、古民家や民芸家の方々を訪ねました。クルピエ地方は大きな森林地帯ですが、人が住んでいるのはこじんまりとした本当に小さな地域です。この小さな地域で様々な奥深い文化が生まれ、今日のポーランドで広く知られる、今も生きるポーランド伝統文化の源となっているのは驚きます。
この伝統がこの先も永く続いていって欲しいと願うばかりです。
次の記事では、クルピ絵地方の二人の切り絵作家さんを訪ねます |
〒409-2522
山梨県南巨摩郡身延町下山1597番地
TEL:0556-62-4111
山梨県南巨摩郡身延町下山1597番地
TEL:0556-62-4111
会場 : 芝生ギャラリーと工芸館ギャラリー
開館時間 : 9:30~17:30(最終入館は17:00)
休館日 : 水曜日(祝日の場合は翌日)
入館料 : 一般700円 小中学生300円
団体割引(20名以上)一般600円 小中学生250円 会期: 2012年3月24日(土)~6月24日(日)
開館時間 : 9:30~17:30(最終入館は17:00)
休館日 : 水曜日(祝日の場合は翌日)
入館料 : 一般700円 小中学生300円
団体割引(20名以上)一般600円 小中学生250円 会期: 2012年3月24日(土)~6月24日(日)
コチラは、恵文社さんのウェブサイトで5月25日まで販売中の芸術家達のピサンキ展。とても好評で、3度目の追加商品が本日アップデートされました。今年は東京・京都のみの巡回だったので、見にいらっしゃれなかったという方は、覗いてみてくださいね。(写真をクリックするとサイトに飛びます)
最近ブログを中々書けてないのですが、頑張ります。ちなみに、FacebookでもちょこちょこSLOW ART情報やポーランドフォーク情報などを流しています。SLOW ARTのFacebookページもお暇な時いらしてください。 http://www.facebook.com/profile.php?id=1458714868
ビョークです。先ほど、ポーランド民族衣装名鑑でコメントしたのですが、やっぱり、持っている人形が、クルピエのものだと判明しました。そうなると、やっぱり、伝統芸能などが気になってきました。クルピエの伝統芸能、素晴らしいですね。こんなコメントしか出来なくてすみません。特に、切り絵が可愛いと思いました。単色ですが、細かくて繊細ですね。この地方独特の伝統芸能があるんだ。と感じました。
返信削除ビョーク様
返信削除クルピエ地方は、ウォヴィチ同様ポーランドを代表する、伝統芸能や伝統工芸が今も残る地方です。切り絵は、土地の伝統がしっかりと反映されているもので、形や模様などにも意味があり、とても面白いですね。クルピエの学校などでは今も、切り絵や伝統工芸品を子どもたちに教えているそうです。