2011/08/10

Mihailo・Bilas フツルの幸せなタペストリー

8月末に再度ウクライナに行くので、今は調べ物をしたり現地の職人さんにコンタクトを取ったりしています。ウクライナには4月にもコウォミーヤのピサンキフェスティバルの為に行ってきましたが、今回はピサンキ以外にも、フツル民族の伝統文化・フォークアートなどを求めて彼らが住むウクライナのカルパチア山脈のふもとの町や村・お祭りを訪ねてこようと思っています。

フツル民族はカルパチア山脈周辺に住む民族でウクライナ民族とも、ポーランド民族、ルーマニア民族とも違う独特の文化や伝統をもち、刺繍、織物、陶器、木工細工、もちろんピサンキなどにおいても崇高な芸術作品を多く残しています。
本日はそのフツル民族の人々の活き活きとした生活や伝統をタペストリーに織り込んだ芸術家であり、私が大好きなタペストリー作家МихайлоБілас(ミハイロ・ビラス)の作品をご紹介します。

ミハイロ・ビラスは1924年、イヴァーノ=フランキーウシク州カルパチア山脈のふもとの村クレホヴィツェに生まれます。リヴィヴ芸術アカデミーで織物を学び、在学中の1955年には既にウクライナ人民芸術賞を受賞し、1967年にウクライナ国家芸術協会の会員となります。彼の作品は、ウクライナ各地の美術館を始め、ポーランド、ドイツ、ルーマニア、アメリカ、カナダ、インドなど海外でも展覧会が多くひらかれました。
 
 フツル民族の家族


フツル民族の作る陶器に使われる緑・黄色・茶の組み合わせで織られているタペストリー

こちらも同様にフツル独特の3色カラーで織られた聖母子

結婚式。結婚するカップルは、パンと塩の歓迎を受けている。「パンは食卓にいつでも食べ物を、塩は結婚生活に味わい」を意味している。

 イースター。イースターのバスケットを持って教会に集まる人々。色のついたピサンキや、イコンを飾るルシネークなどがみられる。


 
 トレンビタと呼ばれるフツル民族のホルンをふく男性。トレンビタは伝統的には結婚式や葬式の際、その音が響き渡り多くの人に聞こえるよう吹かれた。

 ミハイロ・ビラスのタペストリーに織り込まれる人々はみなふっくらとしていてとても幸せそうに、踊り、歌い、祈り、おしゃべりをし、微笑かけてきます。素朴で温かいフツルの人々の雰囲気が伝わってきます。

残念ながら、ミハイロ・ビラス氏は既に亡くなられており、新しい作品を見ることは出来ませんが、彼のコレクションを集めた個人美術館が、リヴィヴ州Truskavets (トルスカベッツ)に1992年に設立されました。ここでは、彼の制作したタペストリーの他、ペインティングや人形なども見ることが出来ます。


Museum of Art Mihailo Bilas
Address: Truskavets, Kobzar Sq. 3
Open: 10:00-18:00, closed Monday
Phone: +38 (03247)5-00-02



 




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10月末に東京でフツル民族やウクライナのフォークアートを集めた展覧会を企画中です。詳細はまた決まり次第、お知らせします。どうぞお楽しみに!

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6 件のコメント:

  1. 今日も、目に毒な情報満載で悩ましいですw
    Truskavetsにそのような美術館があるのですね。
    お水で有名な(単なる)リゾートとばかり・・・。
    あの辺りは、知る人ぞ知る的な美術館・博物館満載で困ってしまいますね。
    つまり知らないと辿りつけない(涙)
    けれど、そこが魅力でもあるんですけどね。

    カルパチアでは何泊くらいされるご予定ですか?
    わたしは去年、目指していたお祭りが中止になっていたという思い出がありますが(2ヶ月前に中止の発表があったようなので、わたしの情報収集力が不足していた訳ですが)、今年は開催されるっぽいですよね。
    あーっ、わたしもウクライナで思う存分、写真を撮りたいですー。

    東京の展覧会、首を長くして待ってます!

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  2. のりさん
    目に毒な情報w

    そうなんです。夫のおばあちゃんもTruskavetsはサナトリウムに行ったと言っていました。ここの美術館私はまだ行ったことがないのですが、見てみたいなぁミハイロ・ビラスのコレクション!トルスカベッツはリヴィヴから列車で2時間ちょっとと交通の便も良さそうです。次回はぜひ。
    カルパチアには1週間ほど行ってきます。毎朝6時くらいから活動しなければならない強行スケジュールです・・今年はkosivでフツルフェスティバルが開催されるので、それに合わせて。確か今年のフツルフェスティバルも洪水の影響か何かで日程が変更されていました。今も色々なサイトで2つの異なった日程が載っているので、少々不安です・・・

    何か、オススメなどありましたら又教えてください。帰ってきたら、ご連絡しますね。

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  3. フツルフェスティバルへ行かれるのですね
    今年のレポート、今から楽しみ!
    5年以上前に別の街で開催された時に参加しましたが、このうえなく楽しかったです。
    この女の子(↓)が会場をうろうろしていたり、歌ったりするかもです。衣装もお顔も一目で分かる美しさですよ。
    http://uk.wikipedia.org/wiki/%D0%9E%D0%BB%D1%8C%D0%B3%D0%B0_%D0%9E%D1%88%D0%B8%D1%82%D0%BA%D0%BE

    日程が2つなんて、おそろしいですよー。
    ご存知な気がするけどKosivartに今年は開催されるのかみたいなスレッドがあったような。
    無事に開催されることを祈っていますね。
    今年の春のリヴィウの大イベントも2つの日程が複数のサイトに掲載されていて、頭痛がしました。日程2つはもやはデフォルトなのか。。。

    トルスカベッツ1つ手前の駅ドロホビチ(ちなみにピサンカ祭りにドロホビチから来ている作家さんの名詞を見かけた気が)へは一度リヴィウから日帰りしました(行き電車、帰りバス)。ミニバスの方が早くて便利でしたが、道がね、ぐわんぐわんでした。

    また長くなってしまいました。まずはご無事の出立を祈ってますね♪

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  4. noriさん
    フツルフェスティバル私もとっても楽しみです!実は今年はポーランドとウクライナ共同でで春から秋にかけて各地でintenational hutsul festival http://www.karpatywschodnie.pttk.pl/
    というのが大々的に開かれていて、クラクフでも夏前に国立博物館でフツル民族の展覧会があったり、イースターの時にホースショーやトレンビタのステージが組まれたりしていました。クラクフの博物館では展覧会中毎週フツルの陶器や民族衣装、木工細工などなど勉強会が開かれていました。その集大成が今年のkosivのお祭りにつながるのかなぁと思っています。今年はクラクフから追いかけてる祭りなので行かねばと思った次第です。

    ピサンカちゃんかわいいですねー。見かけたらぜひスナップさせてもらってきます;)わたしあの民族衣装のボンボンがすごい好きです。

    そうそう、前回はコウォミヤまでミニバスで行ったのですが、私ウクライナの5時間トイレ休憩のないグワングワンのミニバスが怖いので、なるべく電車で旅しようと思った次第です。

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  5. フツルの色に今まで似ない色彩感覚を見せて頂きました。
    3番目の家族の後ろのタペストリーの模様は、以前見た模様で其れにも惹かれます。
    ウクライナの取材を楽しみにしております

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  6. 谷間のゆり様

    コメントありがとうございます。

    フツル民族の衣装や、伝統工芸に使われる色はウクライナの他の地域と比べてもとてもカラフルで独特、特徴的です。仰るとおり、3番目の家族の背景に使われている模様は、ウクライナの伝統的な織物や敷物につかわれる柄でしょうか。下の部分はlizhnykというフツルの羊毛の織物に似ていると思いました。 (http://etnostyle.org/lizhnyk-hutsul-handmade-blanket/)この織物もとても作り方が特徴的で面白いので、村を訪ねて見せてもらってこようと思っています。

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