2011/10/02

悪魔の土地の神聖な陶器


本日は、フツル民族の工芸品を語る上では欠かすことのできない<フツル陶器>について。


フツルの人々が陶器を作り出したのは18世紀頃から。フツルの伝説にもこの陶器に関する話が出てきます。

神が地球を眺めたき全ては水に覆われ、大地は存在しなかった。大地をつくろうと思った神は、悪魔のアリドネック(フツルの伝説によく出てくる悪魔。フツルは悪魔も神も同様に重要な存在と捉えていた)に 海の底から土を持ってくるよう言い付けた。海の底から土をかき集めたアリドネックは神に差し出す際、その一部を自分の口の中に隠し、残りを差し出した。神に渡されたその土はみるみるうちに広がり広大な大地ができた。困ったことにアリドネックの口の中の土も広がりはじめた。アリドネックが慌てて口の中の土を吐き出すと、土は塊になって落ちそこにカルパチア山脈ができた。

その為カルパチア山脈の土は肥沃で陶器に適した粘土が取れるが、フツルの陶芸家達はその土から悪魔の痕跡を消すため熱い窯で長い時間陶器を焼かなければならなくなった。



キリスト教以前の土着信仰では、火と水と土を使って作る陶器は、天と自然への崇拝をあらわすものとされていました。そのため人や動物を模したフィギュアもよく作らました。

 フツルの羊

このフツルの陶器に使われている<緑><黄><茶><白>といった色にもしっかりと意味があります。緑は大地を、黄色は太陽を、白は純潔を、茶は土を表しています。

窯の温度が950度に達した際、緑の染料が溶け出して流れだす現象がおきます。毎回その流れ出し方が違うことからフツルはそれを神の涙だととらえたそうです。

 
極限に垂れ流れる緑色・・・と不道徳現場・・19世紀の作品

緑色が流れだし、涙が多ければ多いほど良いとフツルの人々は考えていました。昔のフツル陶器を多く所蔵するコロミアのフツル民俗博物館には上写真のような絵付け皿がたくさんあり、私は初めて見た時いったいどんな失敗作なんだろう・・と思ったものです。世界にはいろいろな価値観や美学があるものです。
 ちなみに現在作られているフツルの陶器では緑染料の垂れ流しは起きていません。外国人旅行者や観光客が土産物に買っていく為の考慮かもしれません。


様々な絵が描かれたタイル

絵付けのモチーフは多岐にわたります。上のタイルのようにフツルの日々の暮らしがコミカルに描かれたものから、伝統的な花や木・動物などのモチーフ、生命の木(登って行くと天国へ通じるという木)のモチーフなどもあります。 

ところ狭しと作品が並ぶイバンナさんの工房

19世紀中頃までは60家族ほどいたという陶器の窯元も今はコシブ(フツル民族の中心的な町)を中心に12家族を残すのみだそうです。そのうちの一人イバンナさんの工房を訪ねました。フツル陶器が出来るまでを丁寧にを見せてくれたので、次はその話を。

*写真一部はフツル博物館コレクションより(コチラから)。興味深い陶器がたくさんあるので、覗いてみてください。


■チェドックザッカストア
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Robin's Patch 
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